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 11月30日の日本民話
 
   
 キツネとタヌキの化け比べ
 京都府の民話 → 京都府情報
 
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 投稿者 「佐倉サニャ」  Sakura Sagna's VODs
 
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 制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
 
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 投稿者 「天乃悠の朗読アート」   天乃悠の朗読アート
  むかしむかし、ある村のお宮さんに、化けるのが上手なキツネが住んでいました。それからこの村のお寺にも、化けるのが上手なタヌキが住んでいました。
 
 ある日の事、キツネとタヌキがバッタリと顔を合わせました。
 「これはキツネどん。お前さんは化けるのが、とてもうまいそうじゃないか」
 「いやいや、タヌキどん。お前さんこそ、うまく化けるそうじゃないか」
 「いや、キツネどんの方が上手ですよ」
 「そんな事はありません。タヌキどんの方が上手ですよ」
 二匹はお互いをほめ合っていましたが、でもそのうちに話しが変わってきて、
 「おらの方が、化けるのが上手じゃ!」
 「いいや、わしの方が上手じゃ!」
 と、けんかをはじめたのです。
 「よし、それならどっちの化け方がうまいか、化け比べをしようじゃないか!」
 「のぞむところだ! では明日の朝、お宮さんに来てくれ」
 「いいとも。もしキツネどんが勝てば、おらは村を出て行こう。その代わりおらが勝ったら、キツネどんが村を出て行くんだ。いいな!」
 「よし、わかった」
 
 さて次の日の朝、タヌキがお宮さんへ行ってみると、キツネの姿がありません。
 (おかしいな。まさか、逃げたんじゃあるまいな)
 まわりをキョロキョロ見回すと、社(やしろ)の前にタヌキの大好きなあずきご飯がそなえてありました。
 (しめしめ、キツネが現れる前に腹ごしらえだ)
 タヌキはあずきご飯に、手をのばしました。
 そのとたん、あずきご飯がパッとキツネに変わったのです。
 「わあっ! びっくりした! なんだ、キツネどんか」
 するとキツネが、いばって言いました。
 「どんなもんだい。今日の勝負は、わしの勝ちだな」
 「しかたがない。今日の勝負は、おらの負けだ。そのかわり明日の朝は、お寺へ来てくれ」
 
 次の朝、キツネはお寺へ出かけて行きました。
 でも、タヌキの姿がありません。
 (もしかして、わしに勝てないと思って逃げたかな?)
 まわりをキョロキョロ見回すと、お堂の前にキツネが大好きなあぶらあげがそなえてありました。
 (なんて、うまそうなあぶらあげだ。タヌキが出てくる前に、腹ごしらえだ)
 キツネがあぶらあげに手をのばすと、あぶらあげがパッと消えてタヌキに変わりました。
 「あはははは。キツネどん、まんまとだまされたな」
 今度は、タヌキがいばって言いました。
 「うーん、くやしいが、今度はわしの負けだ」
 これで勝負は、一対一の引き分けです。
 
 それからも二匹はこの村で化け方のうでをみがき、どちらも村人たちから化け名人と言われたそうです。
 おしまい   
 
 
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