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11月24日の日本民話

甚五郎(じんごろう)と新田井(にったい)せき

甚五郎(じんごろう)と新田井(にったい)せき
兵庫県の民話兵庫県情報

 江戸時代、但馬(たじま)の豊岡(とよおか)と、出石地方(いずしちほう)の田んぼは、井せきをつくって、そこから水を引いていたそうです。
 その水によって、その年の稲作の良し悪しが決まるので、水の確保はとても大切でした。
 新田井(にったい)せきもそのひとつで、井せきをせき止めする日には奉行まで出てきて、不公平が無いように監督をしていたといわれています。
 そのため井せきのほとりには番小屋までつくられて、夜も昼も厳重な監視が続けられたのです。
 ところが、ひとつ困った事がありました。
 新田井せきが止められると水かさが増すので、伊豆村(いずむら)は水につかってしまうのです。
 村人たちは毎年のように役人にかけあうのですが、いっこうに取り合ってはくれません。
 そんなある日の事、この村の百姓で甚五郎(じんごろう)という男が、何を思ったのかサンダワラ(→わらで作った米俵のふた)を持って川へ出かけて行きました。
 その頃、新田井せきでは相変わらず番人が、厳しい監視を続けています。
 すると上流の方からサンダワラが流れて来て、水をせき止めてある土俵にあたったのです。
 するとわらで作られた軽いサンダワラなのに、土俵がくずれて水が流れ出したではありませんか。
 番人は、びっくりです。
 そしてそのサンダワラは、来た道をさかのぼって、上流へと帰って行くではありませんか。
「サンダワラが、流れに逆らって上流へ行くとはおかいしい。・・・さては!」
 番人は鉄砲をとると、サンダワラめがけて、
 ドスン!
と、撃ちました。
 すると、川の水はみるみるまっ赤に染まって、サンダワラを頭にくくりつけた甚五郎の死体が浮いたのです。
 知らせを聞いて駆けつけた村人たちは、
「バカじゃのう。下へ流れていれば助かったのに」
と、いいながら、村のために死んだ甚五郎に涙したのです。
 その後、村では甚五郎を手厚くとむらい、毎年うら盆がくると、田んぼに美しいまんとうの火がともされるのだそうです。

おしまい

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