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2月29日の日本民話

金色のとび

金色のトビ
宮崎県の民話宮崎県情報

 むかしむかし、日向の国(ひゅうがのくに→宮崎県)に、伊波礼毘古命(いわれびこのみこと)という人がいました。
 伊波礼毘古命は、高千穂(たかちほ)というところで国を治めていましたが、そこはあまりにも小さくはしっこの国だったので、もっと東の方へ移ろうと軍隊をひきいてそこを出発しました。
 そして海を渡ったり陸を進んだりと、長い月日を歩きまわりました。

 ある年の夏、伊波礼毘古命の軍隊が今の大阪湾から陸へあがろうとした時の事です。
 大和の国(やまとのくに→奈良県)の田舎に方にいた、長髄彦(ながすれひこ)という人が、
「伊波礼毘古命の軍隊がここへ来たのは、きっと、わたしたちの国を奪い取るつもりなのだろう」
と、思い、たくさんの兵隊を集めて待ち構えました。
 そして伊波礼毘古命の軍隊が乗った船が浜辺に着くと、いきなり弓矢を放ってきたのです。
 伊波礼毘古命の軍隊は盾で飛んで来る矢を防ぎながら、陸に上がって戦いました。
 この戦いで伊波礼毘古命の兄さんが、長髄彦の矢に当たって深い傷を受けました。
 兄さんは、その傷を押さえながら言いました。
「わたしたちは太陽の子でありながら、太陽の方に向かって戦ったのが間違いだった。これから遠回りをして、太陽を後ろにして戦おう」
 そこで伊波礼毘古命の軍隊は、もう一度船に乗って南の方へ回る事にしました。
 その途中、兄さんは矢の傷が原因で亡くなってしまいました。
「よし、兄さんのかたきは、きっと取ってみせるぞ」
 伊波礼毘古命は、長髄彦を倒す決心をしました。

 伊波礼毘古命の軍隊が陸にあがると、別の新しい敵がいました。
 この敵を倒すため、けわしい山道を道案内をしてくれたのは、『八咫(やた)ガラス』という、カラスでした。
 こうして伊波礼毘古命の軍隊は、ようやく長髄彦のいるあたりへ来ました。
 長髄彦も、伊波礼毘古命の軍隊が攻め込んでくる事を早くから知っていたので、敵ながら力一杯戦いました。
 そのうちに長髄彦の方の兵隊の勢いが強くなり、伊波礼毘古命の軍隊は負けそうになってきました。
「このままでは、味方がやられる!』
 伊波礼毘古命がそう思った時、にわかに空が暗くなって大雨が降って来ました。
 そして大雨の中を、どこからか金色のトビが飛んで来て、軍隊を指揮している伊波礼毘古命が持った弓のてっぺんに止まったのです。
「うわっ、まぶしい!」
 長髄彦の兵隊は、驚いて叫びました。
 その金色のトビの放つ光が、まるで稲光の様に見えたのです。
「これは、たまらん!」
 敵はまぶしさに目がくらんでしまい、戦うどころではありません。
 おかげで味方の軍隊は勢いを取り戻して、伊波礼毘古命は長髄彦を討ち滅ぼす事が出来たのです。
 この伊波礼毘古命という人が、神武天皇(じんむてんのう)なのです。

おしまい

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