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 2月23日の日本民話
 
  
 大飯食らいは損をする
 京都府の民話→ 京都府情報
 
 にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
  むかしむかし、お殿さまがかごにゆられて家来たちと散歩を楽しんでいると、一人で田んぼを耕している百姓がいました。百姓の名前は、『くいち朗』といいます。
 そのくいち朗に、家来の一人が尋ねました。
 「これこれ、このあたりに金剛院(こんごういん)というお寺があるそうだが、どちらの方に行けばよいのだ?」
 すると男は、使っていたスキを片手で持ちあげて、
 「それなら、あちらへ行きなされ」
 と、スキで示しながら言ったのです。
 スキはとても重たい農機具なので、それをひょいと片手で持ち上げた百姓を見て、殿さまはびっくりです。
 そこで、家来に言いました。
 「あの者に、名前を聞いてみよ。そして、どれほどの力があるか問うてみい」
 そこで家来が聞くと、
 「へい。くいち郎と申します。そして力なら、そのお二人でかついでいるカゴを、一人で楽々かつげます」
 そう言ってくいち郎は両手で大きな石を持ってきて、かごの一方にくくりつけると、肩にひょいと担いでそのまま歩き出したのです。
 これには、殿さまも大喜びです。
 「まことにすごい力じゃ。お前のような力持ちは、今まで見たことがないぞ。して、くいち朗、お前はどれほど飯を食うのだ?」
 「そうですね。軽く三升は食べますが」
 「ほう。一日に三升とはすごいのう」
 「いいえ、朝、昼、晩毎に、三升食います」
 「・・・・・・」
 これには、殿さまも言葉がありません。
 「さてさて、力は強いが、その分、名前通りの大飯ぐらいだの」
 殿さまは、この男を家来に召し抱えようと思ったのですが、毎回それだけ食べられては、城の財政が破綻してしまいます。
 「残念、残念じゃ」
 殿さまはそう言うと、城に帰って行きました。
 そして、この話を聞いた村人たちは、
 「大飯食らいは損をする」
 と、子どもたちに語り継いだそうです。
 おしまい   
 
 
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