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2月10日の日本民話

田植え鬼

田植え鬼
新潟県の民話新潟県情報

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 むかしむかし、ある節分の晩、庄屋(しょうや)の勘右衛門(かんえもん)が豆まきをしていました。
「福はー内! 鬼はー外!」
 すると、いきなり、
「助けてくれー! 豆をぶつけないでくれー!」
と、叫びながら、赤鬼が家の中へ飛び込んで来たのです。
「わわわわ、鬼だ、鬼だ!」
 勘右衛門はびっくりして鬼に豆をぶつけようとしましたが、ここに来るまでにもあちこちで豆をぶつけられたらしく、赤鬼はあちこちに青あざをつくって目に涙を浮かべています。
 それを見ると、勘右衛門は赤鬼がかわいそうになりました。
「赤鬼どん。豆はぶつけんから、大丈夫じゃ。まあ、こっちに来て酒でもどうだね」
 勘右衛門は酒と料理を用意すると、赤鬼をもてなしました。
「これは、すまんことです」
 赤鬼はすっかりごちそうになると、節分が終わった次の朝早く、とても良い気分で帰って行きました。

 やがて、田植えの季節がやって来ました。
 勘右衛門の家でも家中の者が朝の暗いうちから起きて、苗を植え始めました。
 ちょうど田んぼの半分を植え終えた頃、急に激しい雨が降ってきました。
「仕方がない。残りは明日にして、引き上げよう」

 次の日は、朝から良い天気でした。
「さあ、昨日の続きをするぞ」
 勘右衛門たちが田んぼへ行ってみると、不思議な事に田植えが終わっているのです。
「おや? 田植えが終わっているぞ?! あのどしゃ降りの中、一体誰がしたのだろう?」
 みんなは首を傾げながら、田植えの終わっている田んぼをながめていました。

 さてこの不思議な出来事は、次の年も、そのまた次の年も、そのまたまた次の年も続いたのです。
 誰も田植えをしていないのに田植えが終わっていて、しかもその田んぼはいつも大豊作なのです。

 そんなある年の田植え時、勘右衛門は不思議な田植えの正体を見届けてやろうと考えました。
 勘右衛門は田んぼの近くの木に隠れると、一晩中田んぼの様子を見ていました。
 しばらくするとバチャバチャと、誰かが田んぼの中へ入って行く音がしました。
 暗くてよく見えませんが、どうも一人の様子です。
 そのうちに、田植え歌が聞こえてきました。
 それがまたいい声だったので、勘右衛門は思わず、
♪そうれ、そうれ、よいやあさ
と、はやしたててしまったのです。
 とたんに田植えをしていた者はびっくりして、勘右衛門の方を振り返りました。
 見るとそれは、節分の時にやって来たあの赤鬼だったのです。
 田植えを見られた赤鬼は、あわてて森の奥へと走り去ってしまいました。

 そして以来、あの赤鬼がやって来る事はありませんでした。

おしまい

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