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 12月3日の小話 
 こまったくせ   なんでも値ぶみ(→値段をつけること)するくせのある男のところに、友だちが遊びに来ました。友だちが、立派な銀ぎせるを取り出して一ぷくしていると、
 「いやあ、見事なきせるだ。一両(→七万円)は、しただろう」
 と、いつものくせで値ぶみをはじめました。
 「なあ、あんたはすぐにそうやって値ぶみをするが、値ぶみをされる方は良い気持ちがせんぞ。あんたの為を思って言うが、これからは値ぶみぐせをなおしなさい」
 友だちがそう注意すると、値ぶみの男は言いました。
 「よくぞ、言いにくい事をおっしゃってくれた。やはり、持つべき物は友だちだな。その親切には、三両の値打ちがある」
 
 この男の値ぶみくせは、一生治らないでしょう。
 ♪ちゃんちゃん(おしまい)
  
 
 
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