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 12月2日の小話 
 富士山の入れ物 
   ある日、中国の役人が日本にやってきて言いました。「富士山をよこせ」
 そこで日本の役人が、
 「富士山は、日本の宝です。渡す事は出来ません」
 と、断りました。
 すると中国の役人が、怖い顔で言いました。
 「よこさねば、戦争をしかけるぞ!」
 日本の役人たちは困ってしまい、返事をしばらく待ってもらうと、知恵のあるおじいさんのところへ相談に行きました。
 すると知恵のあるおじいさんは、笑いながら言いました。
 「よこせと言うのなら、くれてやればいいじゃないか。ただし、『富士山の入る入れ物を持ってきたら、いつでも持って帰れ』と、言ってやれ」
 役人が、おじいさんに言われた通りに伝えると、
 「これはまいった。富士山は、あきらめよう」
 と、中国の役人は、引き上げて行きました。
 ♪ちゃんちゃん(おしまい)
  
 
 
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