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10月26日の日本の昔話

テングのお礼

テングに気に入られた男
當愛天狗个男仔人

福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

♪音声配信(html5)
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むかしむかし、静岡の大きな川の渡し場のそばに、一軒の小さな茶館がありました。

頭擺頭擺,靜岡个大河壩渡船頭脣頭有一間茶館。


その茶館に山伏姿
(やまぶしすがた)の背の高い男がやってきて、注文したおそばをうまそうに食べると、茶館の主人の三五郎(さんごろう)に言いました。
一個山頂修行人打扮,高溜高溜个男仔人來到這間茶館。當當在該食買來个麵,食到像人當好食个時節,對茶館頭家三五郎講:


「こんなにうまいそばを食べたのは、初めてだ」

「像這恁好食个麵,𠊎第一擺食著。」


「それは、ありがとうございます」

「承蒙你。」


「・・・して、あんたはまだ一人者だね。なぜ、嫁さんをもらわんのじゃ? これからわしは江戸へ行くが、江戸に何人も良い娘を知っておる。帰りに良い娘を連れてきてやるから、夫婦になりなさい」

「‧‧‧看你,像人還係單身一儕,仰毋討個餔娘來?過幾日𠊎愛去江戶,𠊎在江戶識幾下個當好个細妹仔,轉个時節渡個好个細妹仔分你做餔娘。」


山伏姿の男はそう言うと、渡し舟で川を渡っていきました。

山頂修行人打扮个男仔人講煞就坐船過河壩。


「・・・嫁さんか」

「‧‧‧餔娘?」


三五郎はなんとなく、うれしくなりました。

三五郎毋知仰會變到當歡喜。


それからしばらくたったある日、あの山伏姿の男が本当に、若い娘を連れてやってきたのです。

過後幾下日,該個修行人打扮个男仔人,正經渡個後生細妹仔來。


娘は恥ずかしいのか下をむいたままで、まったく顔をあげません。

細妹仔怕係驚見笑,頭犁犁毋敢臥起來


「主人よ、これはほんのみやげじゃ」

「主人啊,這一滴仔東西送你。


男は風呂敷につつんだ重い物を三五郎の前に差し出すと、二人にむかって言いました。

山頂修行人打扮个男仔人,摎大手巾包等當重个東西,交分三五郎个時節,面對兩儕講:


「よいか。夫婦というものは、どんな時でも仲むつまじくなければならん。決して、けんかなんぞするなよ。それではわしは、ちょっとそこまで行ってくる」

「做得無?公婆係不管哪量時愛和樂過日子仔,絕對做毋得冤家,恁樣𠊎就去該片一下。


山伏姿の男は、そのまま茶館を出ていきました。

山頂修行人打扮个男仔人行出茶館


娘と二人になった三五郎は、娘に熱いお茶を出しました。

細妹仔兩儕共下个三五郎兜出燒燒个茶分細妹仔


「ああ、とにかく、お茶でもどうぞ。江戸からでは、大変じゃったろう。疲れておるなら、二階でひと休みするとよい」

「啊,總講,至少請你啉杯茶,江戶來到這位非常辛苦毋係咩,若係會悿做得上去二樓歇睏一下。


すると娘は、はじめて顔をあげました。

所以細妹仔開始臥起頭那


まだ十七、八の、かわいい娘です。

正十七、八歲个後生細妹仔


娘は熱いお茶を飲むと、

細妹仔食燒茶時節


「ヒクッ!」

hikud


と、
大きなしゃっくりをして、急にそわそわしはじめました。
打一个大噎啄,開始心神毋定。


「あれ?ここは?ここは、どこですか?あなたは、どなたですか?」

「唉哦?這位?這位係麼个所在?你係麼儕?


「えっ?」

「唉


三五郎はおどろきましたが、とにかく娘の気を落ちつかせると、これまでの事を話しました。

三五郎著下驚,等細妹仔心情安定後、正摎佢講以前个事情。


すると娘は、

細妹仔講


「あっ!きっと、あの南天
(なんてん)の実のような赤い薬だわ」
と、こんな話をはじめたのです。
「啊!絕對係南天竺果子樣个紅色藥仔。

故事對這開始


「実はわたし、江戸のある橋のたもとで急に気分が悪くなったのです。

「事實𠊎,在江戸某隻橋頭,忽然間感覺毋鬆爽。


すると、山伏姿の背の高い男が現れて、

山頂修行人打扮、高溜高溜个男仔人出現。


『これは、元気になる薬じゃ。すぐに飲みなさい』

と、言って、わたしに赤い薬を一粒くれました。
『這係提神藥,請煞煞食落去。』


それを飲むと、とても良い気分になって。

食落去以後,心情變到當好。


それからは、何も覚えていません。

自該以後,麼个都毋記得。


たったいま熱いお茶を飲んだら、しゃっくりが出て正気にもどったのです」

頭下,食燒茶以後,打隻噎正恢復正常。」


娘は三五郎に頭を下げると、すぐに江戸へもどっていきました。

細妹仔摎三五郎行禮後,黏時倒轉江戸去。


一人残された三五郎は、山伏姿の男がみやげだと置いていった風呂敷包みを開けてみました。

伸著一儕人个三五郎,摎山頂修行人打扮个男仔人留下來用大手巾包等个包袱打開來看。


すると中には小判で、六十両ものお金が入っていたのです。

裡肚係金幣,有六十兩。


三五郎
気味いのですぐに役人ました
三五郎驚到會死,黏時拿去交分官府。


すると
役人にっこりわらっていました
官員笑咪咪講:


「ああ、またですか」

「啊,又發生係無?」


「また?」

「又發生?」


「はい、お前さんで、何人目だろうか。

「係,你啊,毋知愛排第幾名?」


このような事はもう何年も前から続いていて、山伏姿の男はテングだと言われています。

這種事情幾下年前陸續發生,人講山頂修行人打扮个男仔人係天狗、


テングは気に入った相手に、親切にするという話しです。

聽講分天狗看中意个人,天狗會對佢非常好。


嫁さんは手に入らずおしい事をしましたが、そのお金はお前さんの物です。

餔娘無討著盡打爽,無過這兜錢係你个東西。


ありがたく、もらっておきなさい」

承蒙,請拿轉去。」


テングは、三五郎の前には現れなかったそうです。

聽講天狗自該擺以後毋識再過出現。

 

おしまい
煞咧

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