百物語 日本の怖いお話し 福娘童話集 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
- 広 告 -
 


福娘童話集 > 日本のこわい話(百物語)

百物語 第244話

幽霊の足あと

幽霊の足あと
大阪府の民話大阪府情報

 むかしむかし、ある大きなお寺に、徳(とく)の高いお坊さんがいました。
 いつものように夕方のおつとめをしていると、一人の女性が本堂(ほんどう)に現れて、お経(きょう)がおわるのをまってから、足音をしのばせてお坊さんに近づくと、女の人はぜひ自分のためにお経をあげてほしいというのでした。
 この女性はお石(いし)という名で、江戸の町にすむ大工の奥さんでした。
 そして、
「実は、わたしは死んでいます。死んでから、まだこの世をさまよっているのです」
と、いうのです。
 お坊さんは、「江戸の女」ときいて、ビックリ。
 じつは一年ほど前に、お寺のご本尊を江戸へ運んで江戸の信者(しんじゃ)たちにお参りさせたのです。
 この女性はそのとき、お経を読んだお坊さんの姿にふかく感動したというのでした。
「あれからしばらくすると、わたしは病気になって、ずっとふせっていました。お金などありませんから、お医者にかかることもできません。夫は家をあけたまま、どこで遊んでいるのかいっこうに帰ってきません。そのうちに病気はおもくなり、だれにもみとられることなく、わたしは死んだのです。ですからわたしは、まだ成仏できません。ぜひ、お坊さまにお経を読んでいただこうと箱根山(はこねやま)をこえ、やっとの思いでここまでやってきたのです」
 お石の話しに、お坊さんは胸をうたれました。
 そしてお石の身の上をあわれに思い、ご本尊にむかうと一心にお石のために祈りました。
 お石の幽霊(ゆうれい)は、お坊さんのうしろにしずかにすわっていました。
 供養(くよう)がおわると、お石は成仏したのか、姿が消えていました。
 そして、お石が立ったときについたのか、ざぶとんの上に土によごれたはだしの足あとが、はっきりと残っていました。
 その足あとはいまも額におさめられて、そのお寺につたえられているという事です。

おしまい

 前のページへ戻る

お話しの移動

・ 福娘童話集
・ 100物語 (こわ~い話)

百 物 語

・   1話  ~  10話
・  11話  ~  20話
・  21話  ~  30話
・  31話  ~  40話
・  41話  ~  50話
・  51話  ~  60話
・  61話  ~  70話
・  71話  ~  80話
・  81話  ~  90話
・  91話  ~ 100話

・ 101話  ~ 110話
・ 111話  ~ 120話
・ 121話  ~ 130話
・ 131話  ~ 140話
・ 141話  ~ 150話
・ 151話  ~ 160話
・ 161話  ~ 170話
・ 171話  ~ 180話
・ 181話  ~ 190話
・ 191話  ~ 200話

・ 201話  ~ 210話
・ 211話  ~ 220話
・ 221話  ~ 230話
・ 231話  ~ 240話
・ 241話  ~ 250話
・ 251話  ~ 260話
・ 261話  ~ 270話
・ 271話  ~ 280話
・ 281話  ~ 290話
・ 291話  ~ 300話

・ 301話  ~ 310話
・ 311話  ~ 320話
・ 321話  ~ 330話
・ 331話  ~ 334話


ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界