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2014年 8月 4日の新作昔話

便所の産女

便所の産女
山形県の民話山形県情報

 むかしむかし、山形のある村に、金蔵という貧乏な男がいました。

 ある年の一月十五日の晩の事、金蔵はふと目を覚まして便所へ行きました。
「うぅー。寒い寒い。こんな寒い夜は、便所に行きたくないのう。だが、もらすわけにもいかんし」
 金蔵がぶつぶつ言いながら便所の戸を開けると、何と便所の中から赤ん坊を抱いた女の人が出てきたのです。
「なっ、何だこれは!」
 金蔵がびっくりしていると、女の人は抱いていた赤ん坊を金蔵に差し出しながら言いました。
「すみません。ちょっとの間、この子を抱いていてくださいな」
 それを聞いて、金蔵はふと思いました。
(これが噂に聞く、産女(うぶめ)という幽霊か)
 産女というのは、お産の時に亡くなった女の人の幽霊です。
 山形では一月十五日の夜に、産女が便所の中から出てくると言い伝えられています。
 幽霊と言っても決して悪い幽霊ではないので、金蔵は少し震えながらも差し出された赤ん坊を受け取りました。
 見ればとても可愛らしい赤ん坊で、子供好きの金蔵の顔に笑みが現れました。
「おー、よしよし。いい子だ、いい子だ」
 金蔵は赤ん坊もをあやしながら、ふと気が付きました。
(この赤ん坊、さっきよりも重くなっているぞ)
 赤ん坊の大きさは変わらないのに、赤ん坊がどんどん重たくなっていくのです。
(おっ、重い。これではまるで、石のお地蔵さんを抱いている様だ)
 金蔵は歯を食いしばって、子どもを抱き続けました。
(こらえろ、こらえろ)
 赤ん坊の重さに手がしびれてきましたが、もし落として怪我でもさせては大変です。
(こらえろ・・・。も、もう駄目だ!)
 金蔵が思わず手を放しそうになったその時、赤ん坊が急に軽くなりました。
 産女が、赤ん坊を受け取ったのです。
 産女は金蔵に、にっこり微笑むと言いました。
「お前さまは、わたしやこの子を怖がらず、重いこの子を抱き続けてくれました。お前さまは、勇気ある人です。褒美に、お金か、力か、どちらか望みの物を授けましょう」
 金蔵は少し考えると、産女に言いました。
「くれると言うなら、わしは金よりも仕事をする力が欲しい」
 産女はコクリと頷いて、そのまま煙のように消えてしまいました。

 次の朝、目を覚ました金蔵は顔を洗うと、顔をふいた手ぬぐいを見て思いました。
(産女は力をくれると言ったが、本当だろうか)
 そこで金蔵は、顔をふいた手ぬぐいをぐいとしぼりました。
 すると手ぬぐいは、ぬれた紙の様に簡単に引きちぎれます。
「なるほど。次はあれだ」
 庭へ出た金蔵が大きな庭石に手を掛けると、庭石はふとんの様な軽さで楽々と持ち上がります。
「これはすごい! 産女は本当に力を授けてくれた」
 それから金蔵は産女から授かった力で一生懸命仕事をして、やがて大金持ちになったそうです。

おしまい

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