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    福娘童話集 > きょうの新作昔話 >ほらふき男爵 馬具におさまったオオカミ 
      2014年 2月10日の新作昔話 
          
          
         
ほらふき男爵 馬具におさまったオオカミ 
ビュルガーの童話 → ビュルガーの童話の詳細 
        わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。 
 みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。 
 今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。 
 
 今日の話は、雪に埋まった町を出た後の話だ。 
 雪の多い冬のロシアで馬に乗っての旅は大変だったので、わがはいはソリを手に入れると、馬にソリを引かせて旅を続けた。 
 すると森の中から、一匹のオオカミが現れた。 
 オオカミが飛びかかってきたので、わがはいはあわててソリに身をふせたが、オオカミの狙いはわがはいではなく馬の方だった。 
 オオカミは馬の尻に食らいつくと、みるみるうちに馬を食いはじめ、ぐいぐいと馬の体の中にもぐっていった。 
 馬はくるったように走り続け、わがはいがムチを打つと馬の中のオオカミもくるったように走り続けた。 
 そしてオオカミに食いつくされたウマの皮がスルリと抜け落ちると、何と馬具におさまったオオカミが馬の代わりに雪をけちらしていたのじゃ。 
 
 こうしてオオカミは馬の代わりに走りに走って、わがはいを目的地まで運んでくれた。 
 その時の町行く人々のおどろいた顔は、まことにけっさくであった。 
 
 『馬がオオカミに襲われても、決してあわてるな。 
 うまくすればオオカミが、その馬の代わりになるであろう』 
 ちと長いが、これが今日の教訓だ。  
 
 では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。 
      おしまい 
         
          
         
        
       
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