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    福娘童話集 > きょうの新作昔話 >ほらふき男爵 雪に埋まった町 
      2014年 2月 7日の新作昔話 
          
          
         
ほらふき男爵 雪に埋まった町 
ビュルガーの童話 → ビュルガーの童話の詳細 
       わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。 
 みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。 
 今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。 
 
 これは、冬のロシアヘ旅行をした時の話だ。 
「たしかこの辺りに、大きな町があったはずだが?」 
 馬に乗って町へやって来たつもりが、辺りは一面の銀世界。 
 日が暮れてきたのに、ここには人家一つなかった。 
「仕方がない。今夜はここで野宿だ」 
 わがはいは雪の上に出ていた杭(くい)に馬をつなぐと、雪をベッドに一夜を明かした。 
 そして朝になり、起きてみて驚いた。 
 いつの間にか、わがはいは町の大通りのまん中に寝ているし、雪の上の杭につないだわがはいの馬が教会の屋根の風見(かざみ→風向きをしる道具)にぶらさがっていたのだ。 
「・・・なるほど、そうか」 
 溶けていく雪を見て、その理由がわかった。 
 わがはいが杭と思って馬をつないだのは、そもそもあの風見であったのだ。 
 あまりの寒さに町ごと雪にうまっていたのが、朝になって雪が溶け出したために、わがはいは道にしずみ、馬は屋根にとり残されてしまったのだ。 
 わがはいは鉄砲を撃ってウマの手綱(たづな)を切り離すと、何とか愛馬を取り戻した。 
 
 『雪の上で野宿をする時は、雪の下に町が埋まっていないかを確かめよう』 
 これが、今日の教訓だ。 
 
 では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。 
      おしまい 
         
          
         
        
        
       
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