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        福娘童話集 > お薬童話 > 肌荒れをやわらげる お薬童話 
         
        
       
つぐみのひげの王さま 
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       むかしむかし、ある国に、とてもわがままなお姫さまがいました。 
 王さまは、結婚したらお姫さまのわがままがなおるだろうと思って、となりの国の若い王さまにお姫さまを会わせました。 
 しかし、お姫さまは、 
「なによあれ。あごが曲がって、まるでつぐみがひげを生やしているみたいだわ。あんな男、大きらい! ふん!」 
 そう言って、結婚をことわりました。 
 それを聞いた王さまは怒って、お姫さまに命令しました。 
「よりによって、人の顔を笑い者にするとは、なんとなさけない! お前は今度来るこじきと結婚して、城を出ていけ!!」 
 そして城にやってきた、きたないボウシとマフラー姿のこじきと本当に結婚させて、城を追い出してしまったのです。 
 お姫さまは泣きながら、こじきの後を歩いていきました。 
 途中で大きな森や牧場、それに、にぎやかな都を通りました。 
「これはみんな、つぐみのひげの王さまのものさ」 
 こじきは、言いました。 
 それを聞いたお姫さまは、 
(ああ、こんなことなら、あの人と結婚すればよかった) 
と、思ったのですが、もうどうしようもありません。 
 さて、こじきはお金がありませんので、お姫さまも働かなくてはなりません。 
 そこで、つぐみのひげの王さまのお城に行って、お城の台所で働く事にしたのです。 
 でも、家事は何も出来ないお姫さまは、なにをやっても失敗ばかり。 
「なにをぐずぐずしているんだい!」 
「あんた、ほんと、不器用だね!」 
「そんな事じゃ、お給金はあげないよ!」 
 いつも、ののしられる毎日です。 
 さて、そんなある日、お城でパーティーが開かれました。 
 すると突然、つぐみのひげの王さまが台所に現れて、お姫さまに言ったのです。 
「お嬢さん、わたしと踊っていただけませんか?」 
「えっ? ・・・あの、その」 
 ビックリするお姫さまの手を、つぐみのひげの王さまがグイッとひっぱりました。 
 そのとたん、服の下からツボがゴロンと転がり落ちました。 
 そのツボには食べ物の切れはしが、いっぱい入っていました。 
 お姫さまがこじきと食べるため、こっそりためておいた物です。 
「ワハハハハッ。なんだあの娘は」 
「あんな残飯を、後生大事に持っているなんて」 
 まわりにいた人たちは、大笑いです。 
 まっ赤になったお姫さまは、転がり落ちたツボを大切にかかえると、そのまま逃げ出そうとしました。 
 すると王さまはお姫さまをだきとめて、お姫さまを引きとどめました。 
 そしてポケットから、きたないボウシとマフラーを取り出してかぶりました。 
「あなたは、わたしの顔を忘れたのかい?」 
 そのボウシとマフラーは、あのこじきの物だったのです。 
「あっ、あなたは、わたしのだんなさま・・・・」 
「そうです。わたしはあなたのわがままをなおすため、あなたの父上と相談して、こじきになっていたのです。いままで、つらい思いをさせてもうしわけない。でも、そまつな食べ物でも大切にしているところを見ると、あなたのわがままは、もうすっかりなおったようですね。お姫さま、今度はこじきとしてではなく、つぐみのひげの王としてあなたをおきさきにむかえたい。どうでしょう、こんな顔のわたしでも、受け入れてくれますか?」 
 お姫さまは、おどろいたり喜んだり。 
 それからお姫さまとつぐみのひげの王さまは正式に結婚して、いつまでも幸せに暮らしたということです。 
      おしまい 
          
         
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