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        福娘童話集 > お薬童話 > 風邪(かぜ)の時に読む お薬童話 
         
        
       
魔法のつえ 
インドの昔話 → インドの国情報 
      
       むかしむかし、六人ののんき者が旅に出ました。 
 川のそばへやってくると、雨あがりでふえた水が、ごうごうとながれています。 
「こりゃあ、へたにわたったら、水にのみこまれてしまうぞ」 
 みんなはきしにたちどまって、どうしようかとなやんでいました。 
 すると村の人がきて、あさいところをさっさとわたっていきましたので、みんなもまねをして、そこからわたっていきました。 
 そして、むこうのきしへつくと、 
「どうだい、みんなちゃんとわたったかい?」 
と、おたがいに人数をかぞえてみました。 
 ところが、六人いたはずなのに、いつのまにか五人になっています。 
「おい、一人たりないぞ」 
 それというのも、みんなじぶんを数にいれないでかぞえるので、なんどやっても五人になってしまうのです。 
 でもだれも、そのことに気がつきません。 
「ああ、なかまを一人なくしてしまった」 
と、みんなはかなしがってなきだしました。 
 するとそこへ、一人の男がとおりかかって、 
「みなさんは、なぜ、そんなにないているのですか?」 
と、たずねました。 
 みんなが、なかまを一人なくしてしまったことをはなしますと、その男は、一人たりない理由がすぐにわかりました。 
 でも、みんなをからかってみたくなって、わざとむずかしい顔をしていいました。 
「じつは、わたし魔法使いなのです。もしみなさんがおれいをくださるなら、その人をとりもどしてさしあげましょう」 
「おねがいします。おれいに、銀貨を五十まいあげましょう」 
と、みんなはやくそくしました。 
 するとその男は、じぶんがもっているつえをふりあげると、 
「これは、魔法のつえです」 
と、いって、みんなの背中をじゅんじゅんにたたいていきながら、 
「一人、二人、三人、四人、五人、・・・そして、六人」 
と、かぞえていきました。 
「ほら、六人になったでしょう」 
 魔法使いはとくいそうに、みんなを見わたしながらそういいました。 
 みんなはいなくなったなかまを、この人がとりかえしてくれたのだと思って大よろこびです。 
「おかげさまで、なかまがたすかりました」 
と、なんどもおれいをいいました。 
      おしまい 
          
         
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