福娘童話集 > お薬童話 > お腹が痛いときに読む お薬童話 
         
          
        イラスト 「ぺんた♪」  運営サイト 「Trying to be a good day*」 
         
おいしいおかゆ 
グリム童話 →グリム童話の詳細 
      
       むかしむかし、ある町に、とても貧乏(びんぼう)な家がありました。 
         住んでいるのは、心の優しい女の子とお母さんの二人です。 
        
       ある日の事、この家には食べる物が、もう何もなくなってしまいました。 
        「困ったわね。すまないが森へ行って、木の実を拾って来ておくれ」 
         女の子はお母さんに言われて、森へ木の実を拾いに行きました。 
        
       すると、一人のおばあさんが現れて尋ねました。 
        「おや、こんな森の中に一人で来るなんて。どうしたんだい?」 
        「はい、家には食べる物が何もないので、木の実を拾いに来ました」 
        「そうかい、それは感心だねえ。じゃあ、おばあさんが良い物をあげよう」 
        
       そう言っておばあさんは、女の子に古ぼけたおナベをくれました。 
           
         それは、とても不思議なおナベでした。 
        
       おナベに向かって、 
        「おナベよ、煮えろ」 
        と、言うと、温かくておいしいおかゆが自然に出て来て、 
        「おナベよ、止まれ」 
        と、言うまで、おかゆは出て来るのです。 
         おかげで女の子もお母さんも、お腹が空いて困る事はなくなりました。 
   
         ある日、女の子が隣の町へ出かけた後で、お母さんはおかゆが食べたくなりました。 
        
       そこで女の子の真似をして、 
        「おナベよ、煮えろ」 
        と、言ってみました。 
         すると、おナベはちゃんとおかゆを作ってくれました。 
         ところがお母さんは、おかゆの止め方を知らなかったのです。 
        「おナベよ、もういらないよ。お腹は一杯だよ」 
        
       いくらお母さんがそう言っても、おかゆはどんどん煮えて、おナベからあふれ出しました。 
        
       やがておかゆは台所からあふれ出ると、家中をいっぱいにして、とうとう家の外へ流れ出しました。 
        
       それでもおかゆは、止まりません。 
        
       隣の家も、その隣の家も、そのまた隣の家も、とうとう町中がおかゆだらけになってしまい、町の人たちもみんなおかゆに流されていきます。 
        
       そして、おかゆが町はずれまで来た時、隣の町から女の子が帰って来ました。 
         女の子は、ビックリして言いました。 
        
       「おナベよ、止まれ!!」 
         やっと、おかゆは止まりました。 
        
       その後、町の人たちは町中にあふれているおかゆを少しずつ食べながら、自分の家へ帰って行ったそうです。 
           
         使い方を知らないの物を勝手に使うと、とんでもない事になると言うお話しでした。 
      おしまい 
          
         
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