| 
      | 
     
        福娘童話集 > お薬童話 > お腹が痛いときに読む お薬童話 
         
        
       
ぐつとカラス 
長野県の民話 → 長野県情報 
      
       むかしむかし、ある村に、ぐつという名の男の子がいました。 
 ある日、おばあさんがぐつにいいました。 
「今日はな、じいちゃんの命日(めいにち)だで、お坊さんにお経をあげてもらうんだ。ぐつや、となり村まで行ってお坊さんをよんできとくれ」 
「お坊さんって、どんなの?」 
 この村にはお寺がなかったので、小さいぐつはお坊さんがわかりません。 
「そうさな、お坊さんは、黒い着物をきていなさる」 
「ふーん、黒いきものか」 
 ぐつはすぐに、出かけていきました。 
 そして田んぼまでいったら、かかしにカラスがとまっています。 
 見てみると、カラスはみんな黒い色をしています。 
「あっ、あれだな、あれがお坊さんだ。おーい、お坊さーん、うちへきとくれよ」 
 ぐつが大声でよぶと、カラスはビックリしてどこかへ飛んでいってしまいました。 
 せっかく見つけたお坊さんに逃げられてはならないと、ぐつがカラスを追いかけると、カラスはとなり村のお寺の森へいって、どこかにかくれてしまいました。 
 追いかけてきたぐつが、 
「お坊さん、出て来い」 
と、呼んだら、お寺の本堂から本物のお坊さんが出てきて、 
「お坊さんはわしじゃが、なんの用かな?」 
と、ぐつにたずねました。 
「ああ、お坊さんて、人間だったのか」 
 ぐつはビックリしましたが、なんとかお坊さんにわけを言って、家に一緒に来てもらいました。 
 いつもはぐつをしかってばかりのおばあさんですが、今度ばかりは「いい子だ」とほめてくれたのです。 
      おしまい 
          
         
  | 
      | 
     |