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        福娘童話集 > お薬童話 > 眠れない時のお薬童話 
         
        
       
もちはこわい 
山梨県の民話 → 山梨県情報 
      
       むかしむかし、ある山の村のむこさんが、はじめて山をおりて嫁さんの家へ行きました。 
 嫁さんの家では、むこさんにごちそうしてやろうと、おもちをつきはじめました。 
 するとそこへ、近所の家の小さい子どもがやってきたので、家の人が、 
「これはこわい物だ、あぶないから、あっちへいっていろ」 
と、いったのです。 
 それを見ていたむこさんは、おもちが本当にこわいものだと思いました。 
「さ、できた。遠慮しないで、どんどん召し上がってください」 
 そういって、おかみさんがお皿に乗せて持ってきたものは、おもちをあんこでくるんだぼたもちでした。 
 それを見たむこさんは、 
(やや、なんてまっ黒いものなんだ。これはきっとバケモノにちがいない) 
と、思って、ガタガタとふるえたまま食べないでいました。 
 するとおかみさんは、むこさんがお腹いっぱいなのだと思い、帰るときにそのぼたもちをふろしきにつつんで、お土産に持たしてくれました。 
 むこさんはそのぼたもちをつつんだふろしきがこわくて、長い竹ざおをひろうと、その竹ざおのさきにふろしきをぶら下げてかえることにしました。 
 ところが、だんだんとふろしきが下へおりてきて、むこさんの背中にペタリとぶつかったのです。 
「ウヒャーーーァ! まっ黒のバケモノが背中にかみついた!」 
 むこさんは竹ざおを投げ捨てて、ふろしきからこぼれだした一つをふみつけました。 
 すると中から、白いおもちが出てきました。 
 それを見たむこさんは、よけいにビックリして、 
「バケモノが、歯をむいてきただ!」 
と、言って、そのまま家まで逃げ帰ったという事です。 
      おしまい 
          
         
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