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        福娘童話集 > お薬童話 > 更年期障害をやわらげる お薬童話 
         
        
       
いきをふきかける亡者 
青森県の民話 → 青森県情報 
      
       むかしむかし、陸奥の国(むつのくに→青森県)の真行寺(しんぎょうじ)に、まだ修行中の若い僧がいました。 
 ある冬の日のこと、夜おそくまで一人で勉強していると、部屋のしょうじに人のようなかげがうつりました。 
(はて、こんな夜中に何者だろう?) 
 僧は、しょうじのすきまに目をあてました。 
 するとそこには、まるでゆうれいのような女が、髪をふりみだしてたっていました。 
 手をだらりと前にさげ、青白い顔がうらみをこめたようにひきつっています。 
(これが、亡者(もうじゃ)というものだろうか?) 
 わかい僧は顔をこわくなり、頭からふとんをかぶりました。 
 ヒューゥ、ヒューゥ。 
 なんだかすきま風のような音がするので、ふとんの中からこっそり顔を出してみると、あの女がしょうじのやぶれたところに口をつけて、部屋の中に息をふきこんでいるのです。 
 その息は雪のようにつめたく、部屋の中はどんどん冷えていきます。 
 若い僧は、一心(いっしん)にお経(きょう)をとなえました。 
 すると女はあきらめたのか、息をふきこむのをやめて部屋の前をはなれていきました。 
(ああ、こわかった) 
 若い僧はホッとしてふとんからはいだすと、そっとしょうじを開けてみました。 
 すでに女のすがたはなく、台所の方から火の明りがもれています。 
(おや? まだだれかおきているようだ。ちょうどいい、少しあたたまらせてもらおう) 
 若い僧は手をこすりながら、台所の方へいきました。 
 ところが、かまどに火がもえているのにだれもいません。 
(おかしいな) 
と、思いながらも、かまどの火に手をかざそうとしたら、目の前にさっきの女がいて、ニヤリとわらいかけたのです。 
 若い僧は、 
「あっ!」 
と、さけんだきり、気を失ってしまいました。 
 やがて夜が明けて、朝食係りの僧たちが、かまどの前でたおれている若い僧を見つけました。 
「おい、どうした? しっかりしろ!」 
 やっと気がついた若い僧は、昨日の事をみんなに話した後、十日間も寝込んでしまったという事です。 
      おしまい 
          
         
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