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12月1日の小話
えんまのかんがえ
   このところ、じごくがひまでした。
   びょうきでしぬ人が、めっきりへって、おにたちも、ひまをもてあましぎみです。
   そこで、
  「えんま(→詳細)さまといっしょに、なにか、よいたいさくはないか、会議を開こう」
  と、いうことになりました。
   まず、赤鬼(あかおに →詳細)がいいました。
  「じごくがひまになったのは、医者が、びょうにんをのこらず、治してしまうせいです。医者という医者を、みんなじごくへつれてきましょう」
  「それは、名案だ」
   青鬼もさんせいしました。
  「どうでしょう。えんまさま」
   鬼たちがききますと、えんまさまは首をよこにふりました。
  「それは、ちと、かんがえものだ」
  「なぜで、ございますか?」
「よくかんがえてみよ。いしゃがくすりのさじかげんをまちがえたり、みたてちがいをしてくれるおかげで、ほんらいは死なぬ人間が、ここにくることをわすれてはならん。やぶいしゃまで、ひとりのこらず、いなくなっては、ますますこまる。つれてくるのは、くれぐれも、うでのよいいしゃにかぎるぞ」
おしまい