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2月26日の小話
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七の字
   ちかごろ字をならいたての男がおりました。
   近所の者が、からかい半分に、
  「おい、七という字を書いてみな」
  と、いいますと、
  「お安いご用だ」
  と、ふでを取り、まず一をひき、今度は、たてに一をひき、そのまま左へ、すっとまげました。
   近所の者はわらって、
  「これ、七という字は、しりを右へまげるのだ」
  と、いいますと、男は、
  「バカなやつめ、うらからみやがれ」
 たしかに、うらから見れば、七になっています。
おしまい