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        福娘童話集 > お薬童話 > お通じを良くするお薬童話 
         
        
       
ガラクタおばけ 
      
       むかしむかし、坊さんが、ひとりでたびをしていました。 
 ある日の夕方。 
「どこか、とめてくれる家はないかな」 
 あたりをみまわすと、やねのかたむいた、あれ寺が目にとまりました。 
「ボロボロじゃが、やねがあるだけ、ましじゃわい」 
 坊さんは、あれ寺に入っていきました。 
 いろりに火をたいて、あたっているうちに、坊さんはからたがあたたまって、つい、ウトウトしはじめ、やがてグッスリとねむってしまいました。 
 すると、どのくらいたってからか、だれもいないはずのとなりのざしきのほうで、にぎやかなうたがはじまりました。 
 坊さんがおきだして、しょうじの穴からのぞくと、こわれたからかさや、七輪(しちりん)や、かけたおさらや、そこのぬけたひしゃくや、茶がまたちが、うたいながらおどっていました。 
 ガラクタのおばけです。 
 坊さんはしずかに、おきょうをとなえました。 
 すると、ガラクタおばけたちはしずかになって、やみのなかにきえていってしまいました。 
 つぎの朝、坊さんがとなりのざしきをしらべてみると、おし入れのなかに、ゆうべのからかさや、七輪や、おさらや、ひしゃくや、茶がまなどが、らんぼうに、ほうりこまれていました。 
「よしよし、かわいそうに。わしがとむらってしんぜよう」 
 坊さんは、おし入れにあった物たちを取り出して、一つ一つていねいにみがいてやると、ありがたいおきょうをあげて、ガラクタたちをなぐさめたということです。 
 人に使われた物は、たましいがやどるといいます。 
 手入れもせず、押し入れに入れたままにしていると、化けて出るかもしれませんよ。 
      おしまい 
          
         
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