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        福娘童話集 > お薬童話 > お通じを良くするお薬童話 
         
        
       
おばあさんと目医者 
      
        あるおばあさんが目の病気にかかり、目が見えなくなって寝こんでいましたが、友だちに、どんな目の病気でも治すという、名医の目医者がいると聞いたので、おばあさんはその目医者を呼んで、きちんとお金はらうから、どうか目をなおしてほしいとたのみました。 
 目医者はたしかに名医で、おばあさんの見えない目は、だんだん見えてくるようになりましたが、じつはこの目医者はドロボウでした。 
 おばあさんの家にきて手あてをしますが、くるたびに、ちりょうでおばあさんが目をつぶっているすきに、部屋にある家具を、1つずつ、こっそり持ってかえっていたのです。 
 家じゅうの家具を、次々にぜんぶぬすみおえたとき、おばあさんの目は完全に見えるようになりました。 
 医者は、 
「目の治療がすんだから、約束の金をはらえ」 
と、おばあさんにいいました。 
 すると、おばあさんは、 
「いいえ、お金をはらうわけにはいきません」 
と、いいました。 
 医者はおこって、裁判官のところへ、おばあさんをひっぱっていきました。 
 裁判官に、 
「なぜ、目の治療がすんだのに、約束どおり、お金をはらわないのか」 
と、聞かれると、おばあさんは、 
「たしかにわたしは、『目をなおしてくれたらお金をはらう』と、いいましたよ。だけどわたしの目は、まだなおっていません。だって、うちの中の家具が、なにひとつ見えないのですから」 
 
 このお話しのように、人をだましてよくばったことをする人間は、自分自身で罪の証拠(しょうこ)を作ってしまい、その結果、自分のおかした罪をつぐなうはめになるのです。 
      おしまい 
          
         
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