福娘童話集 > お薬童話 > 風邪(かぜ)の時に読む お薬童話 
         
        
       
旅人とオノ 
      
        2人の男が、いっしょに旅をしていました。 
 そのうち、1人が道に落ちているオノをひろいました。 
 それをみて、もう1人が、 
「ぼくたちは、オノをひろった」 
と、いいました。 
 すると、ひろった男がいいました。 
「ぼくたちは、ひろったではなくて、きみはひろったと、いえよ」 
 しばらくすると、そのオノを落とした男が2人を追いかけてきました。 
 その男は盗賊で、ぬすんだオノを落としてしまったのです。 
「ああ、もうだめだ。ぼくたちがオノをよこどりしたと思っている。ぼくたちはもう助からない」 
 オノをひろった男がなげくと、もう1人の男がいいました。 
「ぼくたちは助からないじゃなくて、ぼくは助からないといえよ。だって、さっきオノをひろったときに、きみはぼくをなかまに入れなかったのだから」 
 
 よいことがあったときに、友だちをのけ者にする人は、不幸な目にあったときに、その友だちに助けてもらえるはずがない。 
と、いうことを、このお話しはおしえています。 
      おしまい 
          
         
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