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12月29日の世界の昔話

仕事のとりかえっこ

仕事のとりかえっこ
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 むかしむかし、あるところに、文句ばかり言っているだんながいました。
 自分は外でまじめに草刈りの仕事をして帰ってくるのに、おかみさんはいつも家の仕事をきちんと終わらせていないと怒って、文句を言うのです。
 おかみさんも文句ばかり言われて、頭にきてこう言いました。
「それなら明日、あたしが草刈りに行くわ。あんたが家の仕事をしてちょうだい。お昼ご飯をよびにくるまで、あたしは外で働くから」
「いいさ。俺は楽ができるんだからな」
 だんなはそう言って、うなずきました。
 次の日、おかみさんは草刈り仕事に出かけて行きました。
 だんなは家で、バターを作ろうとミルクをかきまわします。
 でも、のどがかわいたので、地下室ヘビールを飲みに行きました。
 タルのせんを開けて、コップにビールをついでいると、上でガタガタと音がします。
「なんだ?」
 地下室から階段をかけあがると、開けっ放しのドアからブタがはいって来て、ペチャペチャとミルクをなめているのです。
 床はミルクでベタベタで、もうバターは作れません。
 だんなは怒って、ブタを思いっきりけとばしました。
 すると、ブタはころんだひょうしに頭を打って、死んでしまいました。
「しまった! 大切なブタなのに」
 だんなは頭をかかえて、それからハッとしました。
 ビールのタルのせんを、あけっ放しできてしまったのです。
 あわてて地下室へかけおりると、ビールはすっかり流れだしており、床はビショビショでタルはからっぽです。
「ああ、もったいない」
 だんなは泣きたくなりました。
 でも、泣いているひまはありません。
 お昼ご飯におかみさんがもどって来るまでに、バターを作りなおさなくてはならないのです。
 だんなはミルク小屋へ走って行き、おけいっぱいにミルクを運んで来ました。
 そうしてバターを作っていると、メスウシに草を食べさせていないことを思い出しました。
 けれど、メスウシを草原まで連れて行く時間はありません。
 どうしようかと考えて、だんなはある名案を思いつきました。
「そうだ、うちの屋根に草が生えているじゃないか、メスウシを屋根に乗せりゃいい」
 だんなはそう思って外へ出ようとして、バターのタルをチラリと見ました。
 誰か来て、ひっくり返されたらだいなしです。
 そこでだんなはバターのタルをおんぶして、落ちないように体にしばりつけて外へ出ました。
 メスウシを連れて来ると、だんなはまず水を飲ませようと井戸(いど)に体をのり出しました。
 そのとたん、背中にしょっていたタルからミルクが流れ出し、だんなは首から頭までミルクだらけになりました。
「うわあ、俺も井戸の水もだいなしだ」
 だんなはガックリと、肩を落としました。
 でも、落ち込んでいるひまはありません。
 だんなは、大きな板を屋根に立てかけて、メスウシをうしろから押して、やっとメスウシを屋根の上に乗せました。
「だけどよ。メスウシが屋根からすべり落ちて、首の骨をおったらおおごとだなあ」
 だんなはメスウシの首にロープをくくりつけ、そのロープのはしを煙突(えんとつ)からたらしました。
 それから急いで台所にもどると、煙突からたれているロープのはしを自分の足首にむすびました。
「よし。こうしておけば、メスウシに何かあってもすぐにわかる」
 だんなは大ナベに水と米をいれ、おかゆを作ることにしました。
 ところがメスウシが足をすべらせて、屋根から落ちてしまったのです。
「うわあ!」
 自分の足にゆわえておいたロープがウシの重みで引っぱられ、だんなの体は足首から煙突へとすい込まれて、宙ぶらりんになりました。
 メスウシは首にロープを巻きつけたまま屋根から降りることもできず、苦しそうにあばれています。
 そこへ、お昼を食べにおかみさんがもどって来ました。
「おや、まあ!」
 おかみさんはおどろいて、メスウシのロープをカマで切りました。
 メスウシはやっと地面に降りることができました。
 そして、おかみさんは家の中に入ってビックリ。
 だんながおかゆの入った大ナベにあたまをつっこんで、逆立ちしていたのです。
 その日以来、おかみさんが家の仕事をきちんと終わっていなくても、だんなは文句を言わなくなったのです。

おしまい

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