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      福娘童話集 > 絵本紙芝居(アニメかみしばい) ネコ岳の化けネコ 
         
          ネコ岳の化けネコ(4k HD) 
          アニメサイズ
        Max 2880×2160 字幕「日本語」「中国語」 
        
         
         
        ネコ岳の化けネコ 
        百物語 
         
        イラスト版  えほん版 
      
       むかしむかし、旅の商人の五助(ごすけ)が、仕事で九州の阿蘇山(あそざん)の奥へと出かけました。 
 五助は、いつの間にか道を間違えたらしく、岩だらけのところに出てしまいました。 
「さあ、困ったぞ。本格的に、迷ってしまった」 
 五助が、どうしようかと考えていると、 
「ニャー」  
と、どこからか、ネコの泣き声が聞こえてきました。 
「はて? 
 どうしてこんな山の中で、ネコの泣き声が? 
 ・・・そういえば、確かこの辺りにネコ岳(だけ)という山があって、化けネコの親玉がいると聞いた事がある。 
 ・・・捕まったら、大変だ」 
 五助はその場を離れようと、方向もわからないまま先を急ぎました。 
 すると山の奥に、家の明かりらしい物が見えました。 
「ありがたい。あそこで泊めてもらうとしよう」 
 明かりに近づくと、そこには立派なお屋敷がありました。 
「すみません。旅の者ですが、今夜泊めてもらえないでしょうか?」 
 五助が声をかけると、中から美しい女が現れて、 
「どうぞ、おあがりなさい」 
と、座敷へ通してくれました。 
「ふうっ、野宿をせずにすんだ。それにしても、立派な屋敷だな」  
 五助が荷物をおろして一息つくと、さっきの美しい女が言いました。 
「お風呂が、わいております。 
 お風呂は、廊下の突きあたりです。 
 お風呂に入っている間に、ご飯の支度をしておきますね」 
「ああ、風呂とはありがたい」  
 そこで五助がお風呂に行こうとすると、廊下ですれ違った別の女が、ひどく驚いた顔で言いました。 
「五助どん?」 
 名前を言われて、五助もびっくりです。 
「確かに五助ですが、どこかでお会いしましたか?」  
 すると女は、五助の耳元に口を近づけて言いました。 
「ここは、人間の来るところではありません。はやく逃げないと、ネコの姿にされてしまいます」 
「はあ? あんたは、誰だね?」 
「むかし、五助どんの家の近くにいた三毛ネコです。 
 五助どんには、とても可愛がってもらいました。  
 わたしは年を取ったので、ネコ岳の化けネコのかしらに仕えています」 
 それを聞いて五助は、三毛ネコの事を思い出しました。 
「そうか。お前さんは、あの三毛ネコか。急にいなくなったから、心配していたんだ」 
「そんな事よりも、早くお逃げなさい」 
 五助は三毛ネコの女に裏口を教えてもらい、命からがら逃げ出しました。 
 するとやがて、 
「まてぇー!」 
と、お湯の入ったおけを手にした女たちが、五助を追いかけてきました。 
 女たちは次々と、おけのお湯を五助にかけようとしました。 
 バシャー! 
 お湯が少し足にかかりましたが、五助は転げる様に山を下って、ようやく町へ逃げ帰りました。 
 
 町の宿屋に入った五助が、お湯のかかった足を調べると、その部分だけネコの毛が生えていました。 
「あの時、もしも風呂に入っていたら、おれは今頃ネコに・・・」 
 それからというもの、五助は二度とネコ岳には近づきませんでした。 
      おしまい 
        
         
        
        
      
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