昔話の英語《Hukumusume fairy tale collection》昔話の英語 日本語昔話の英語《Hukumusume fairy tale collection》 Hukumusuem fairy tale collection
 


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アトリの鐘

アトリのかね
(イタリアのむかしばなし)

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
鐘の折り紙かね   葡萄の折り紙ぶどう  馬の折り紙うま

♪にほんごのろうどく
TIME 4:27   ろうどく 朗読 まちゃりんの読んだり〜の♪



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 むかしむかし、イタリア の アトリ と いう まち の おはなし です。


 あるひ、おうさま の めいれい で、まち の ひろば の とう に おおきな かね が つるされました。

 かね から は、ながい つな が さがっています。

「どんな おと が する の だろう?」

 まち の ひとたち は とう を とりかこん で、むね を わくわく させながら おうさま が くる のを まちました。

 やがて ばしゃ で やって きた おうさま が、あつまった ひとびと に こう いい ました。

「この かね は、ただ じこく を しらせたり、おと を きく だけ の もの では ない。『ただしさ の かね』と して、ここ に つるした のじゃ」

「ただしさ の かね?」

 ひとびと は、ふしぎ そう に おうさま を みつめました。

「そうじゃ、『ただしさ の かね』じゃ。

 おまえたち の うち の だれ でも、もし ひと に いじめられたり、つらいめ に あわされたり したら、ここ へ きて かね を ならせば よい。

 かね が なれば さいばんかん が すぐ に きて、おまえたち の いいぶん を きいて くれる。

 そして なに が ただしいか を、きめて くれる で あろう」

「だれ が かね を ならして も、よろしい の ですか?」

「だれ が ならして も よい。

 こども でも よいぞ。

 みよ、その ため に つな は、この よう に ながく して あるのじゃ」

 こうして アトリ の まち では、その ひ から ひと に つらいめ に あわされた ひと や、あらそいごと の ある ひと は とう の した に きて、かね を ならす よう に なりました。

 そして おうさま の おっしゃった とおり かね が なる と さいばんかん が やってきて、だれ が ただしい か、なに が しんじつ か を きめて くれる の です。

 かね の おかげ で まち の みんな は、たのしく まいにち を すごせる よう に なりました。

 そして ながい ねんげつ の あいだ に おおぜい の ひと が つな を ひっぱった ので、つな が きれて あたらしい つな が できる まで ブドウ の つる が さげられる こと に なりました。


 さて、アトリ の まちはずれ に、ひとり の かねもち の おとこ が すんで いました。

 この おとこ は わかい ころ は ウマ に のって わるもの を たくさん やっつけた、いさましく ただしい ひと で した。

 でも とし を とる に したがって、だんだん と いじわる の けちんぼう に なって しまったのです。


 ある ひ、かねもち は かんがえ ました。

「もっと、おかね を ためる ほうほう は ない だろうか?

 ・・・そうだ。ウマ に エサ を やらなければ いいんだ」

 こうして むかし は いっしょ に かつやく した ウマ なのに、エサ を やる の を やめて しまった の です。

 やせほそった ウマ は ヨロヨロ しながら、やっと アトリ の まち へ たどり つきました。

 そして ひろば の とう の した まで くると、つな の かわり に さがって いた ブドウ の つる の は を ムシャムシャ たべはじめた の です。

♪ガラン、ガラン。

 ウマ が たべる たび に、かね が ガランガラン と なりました。

 まち の ひとたち も さいばんかん も ひろば に とんできて、その ウマ を みました。

「かわいそうに、こんな に やせている」

「ウマ は くち が きけない から、かね を ならして、つらい こと を うったえて いるのだ」

 すぐ に かいぬし だった かねもち が、ひろば に よばれ ました。

 さいばんかん は、かねもち に いい ました。

「この ウマ は、いままで とても あなた の やく に たって きた はず。

 あなた の ためた おかね の はんぶん は、この ウマ の もの では ありませんか?」

 かねもち の おとこのひと は ブドウ の は を たべている ウマ を みている うち に、むね が いっぱい に なりました。

 じぶん が どんな に ひどいこと を したか、ようやく わかった の です。

 そして それから は ウマ を たいせつ に して、いつまで も なかよく くらし ました。


 アトリ の かね は、ウマ に とっても 『ただしさ の かね』だった の です。

おしまい

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