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第111話 田舎の道を、一人の山伏が歩いていました。 山伏がしばらく歩いていくと、道端の大きな木の根元で、タヌキが気持ちよさそうに昼寝をしていました。 「やあ、こりゃあ、大した古狸だ。一つびっくりさせてやろう。」 山伏は思い切り深く息を吸い込んで、法螺貝を吹きました。
「わっはははは。どうだ、驚いたろ、タヌ公!」 山伏はのんびり歩いていきました。 山伏が暗くなった道を歩いていくと、向こうから、ちんちんと鐘を鳴らしながら、葬式の行列がやってきました。 ところが、後ろからやってくる葬式の行列の早いこと、早いこと、みるみる山伏に近づいてきました。 夢中になってかけていくうちに、道端に1本の大きな松の木がありました。 ところが、葬式の行列は、松の木の下まで来ると、ぴたりと止まって、担いできた棺桶を木の根元に卸していました。 やっと焼香が終わると、みんなは、松の木の根元に穴を掘り始めました。 辺りはシーンと静かになりました。ろうそくの火だけが、暗い中でチロチロと気味悪く燃えています。 その時、松の木の根元の今しがた棺桶を埋めたあたりで、ムクムク埋めたところが動き出したかと思うと・・・・、棺桶の蓋をそろそろ持ち上げて、白い骨のようにやせこけた青白いものが這い出してきました。 白いものは、だんだんと山伏に近づいて、とうとう山伏のいる木のところまで来ました。白いものは、またスーッと手を伸ばし、木に登り始めました。 山伏は、夢中で次の枝に登りました。 冷やっと冷たい手が、山伏の足をつかみました。 そして力の限り、息の限り、 「山伏が松の木のてっぺんで法螺貝を吹いとるぞ。」 松の木の周りには、村の人が集まって、面白そうに山伏を見物していました。 それを誰より面白がっていたのは木の後ろに隠れていた狸でした。 おしまい |
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