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第204話

マーシャと熊

マーシャと熊
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 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが、孫娘のマーシャと三人で暮らしていました。
 ある日の事、村の女の子たちが、マーシャをイチゴつみに誘いました。
「おじいちゃん、おばあちゃん。あたしも森へ行っていいでしょう?」
「いいとも、行っておいで。でも、みんなとはぐれないように気をつけるんだよ」
「はーい。では行って来まーす」
 マーシャは森に着くと、夢中でイチゴをつみ始めました。
 ところが大変な事に、気がつくとどこにも友だちの姿がないのです。
 マーシャは広い森の中で、迷子になってしまったのです。
「みんな、どこへ行ったの?」
 友だちを探しているうちに、マーシャは一軒の小屋を見つけました。
「誰の家かしら? しばらく待ってみましょう」
 そしてしばらくすると、そこへ帰ってきたのは大きな熊だったのです。
 熊はマーシャを見ると、大喜びで言いました。
「可愛い娘だな。これからお前は、ここに住むのだ。そしてわしのごはんを作るのさ。もし逃げたりしたら、すぐに捕まえて食べてしまうぞ」
 マーシャはびっくりしましたが、ここで泣いてしまうような弱い女の子ではありません。
(どうやって逃げましょう?)
 マーシャは一生懸命に考えて、良い事を思いつきました。
「熊さん。あたしを一日、村へ行かせて下さいな。おじいちゃんとおばあちゃんに、お菓子を持って行ってあげたいの」
「駄目だ! お前はきっと、道に迷ってしまうだろう。お菓子なら、わしが持って行ってやろう」
「うん。じゃあ、お願いね。この大きい箱にお菓子を入れるから、ちゃんと届けてね。途中で箱を開けたり、食べたりしては駄目よ。あたし、かしの木の上で、あなたを見張っているから」
「よし、約束するから、箱をこっちへ寄こしなさい」
「その前に、雨が降っていないか見て来て」
「わかった」
 そして熊が外へ出たすきに、マーシャはさっと箱に潜り込み、お菓子を並べた皿を体の上に乗せました。

 さて、そんな事とは知らない熊は、箱を背負って村へ向かいました。
 林を抜けて谷を下り、川を越えるうちに、熊はすっかりお腹が空いてしまいました。
「やれやれ、ここで一休みして、おやつにお菓子を食べるとするか」
 そして熊が箱を開けようとすると、どこからかマーシャの声が聞こえてきました。
「見えるわよ、ちゃんと見えるわよ。きりかぶに腰かけないで。ちゃんとお菓子を持って行ってよ」
 それを聞いた熊は、びっくりして来た道を振り返りましたが、当然マーシャの姿はありません。
「何とまあ、よく目が見える子だ」
 熊は感心すると、また箱を背負って村へ向かいました。
 どんどん歩き続けたクマは、またまたくたびれて、一休みしました。
「やれやれ、このきりかぶでひと休みして、お菓子を食べるとするか」
 するとまた、マーシャの声が聞こえてきました。
「見えるわよ、ちゃんと見えるわよ。きりかぶに腰かけないで。ちゃんとお菓子を持って行ってよ」
「まったく、何て子だ。これはずいぶんと、高い所から見ているらしい」
 熊はお菓子を食べるのをあきらめて、村を目指しました。
 そしておじいさんとおばあさんの家に着くと、トントンと戸を叩きました。
「開けてくれ。マーシャから、お菓子を預かってきた」
 その時です。
「ワンワンワンワン!」
 熊のにおいをかぎつけて、村中の犬が走って来ました。
「わあー、犬だ!」
 熊は犬が苦手なので、びっくりして箱を放り出すと、一目散に森へ逃げ帰りました。
 外に出てきたおじいさんはおばあさんは、訳がわからず首を傾げました。
「一体、何だったのだ? 大きな箱があるが、何が入っているのだろう?」
 おじいさんとおばあさんが箱を開けてみると、中から元気いっぱいのマーシャが飛び出してきました。
「おじいさん、おばあさん。ただいま! 実はね、森で迷子になってね」
 マーシャは今までの事を、おじいさんとおばあさんに話して聞かせました。
 するとおじいさんとおばあさんは、マーシャを力一杯抱きしめて、
「よかった、お前が無事で本当によかったよ」
と、優しくほおずりをしました。

おしまい

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