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第197話

こまったハンス

こまったハンス
ドイツの昔話 → ドイツの情報

 むかしむかし、ある村に、貧しい母親とハンスという名前の息子が暮らしていました。
 ある日の事、母親はハンスに言いました。
「ハンス、お母さんがいつまでもお前のめんどうを見るわけにはいかないよ。お前もそろそろ、町でかせいでおいで」
「はーい。でも、どうすればいいの?」
「町に行ったら、とりあえず自分が一日にどのくらいお金で働くかを言うんだ」
「ふーん。それで、お金はいくらと言ったらいいの?」
「そうさね。一日に百ももらえれば、いいだろう」
「そうか、わかった」
 さっそくハンスが町にやってくると、すぐに葬式の行列に出会いました。
 そこでハンスは、大きな声で叫びました。
「一日に、百! 一日に、百!」
 すると葬式に来ていた人たちは、ハンスが一日に百人死ねばいいと言っていると勘違いをして、
「なんて奴だ!」
と、ハンスを殴りつけました。
 家に帰ったハンスは、その事を母親に言いました。
「お母さん、おら、町で『一日に、百』と言っていたら、葬式に来ていた人たちに殴られてしまったよ」
「馬鹿な子だねえ。そう言うときは泣きながら、『おかわいそうに』と、両手を合わせなきゃいけないよ」
「うん。今度はそうするよ」
 そこでハンスが再び町にやってくると、すぐに結婚式の馬車に出会いました。
 そこでハンスはひざまずいて、泣きながら両手を合わせて言いました。
「おかわいそうに。おかわいそうに」
 すると結婚式の付き添いの人たちが飛んできて、
「縁起でもない!」
と、ハンスを殴りつけました。
 ハンスは再び家に帰って、また母親に言いました。
「お母さん、おら、泣きながら両手を合わせて、『おかわいそうに』と言ったら、結婚式の付き添いの人たちに殴られてしまったよ」
「それは、殴られて当然だよ。いいかいハンス。そういう時はね、『おめでとう』と、踊って喜ばなくちゃ」
「うん、今度はそうするよ」
 そこでハンスが再び町にやってくると、何と火事で家が燃えていたのです。
 そこでハンスは、踊りながら楽しそうに言いました。
「おめでとう! おめでとう!」
 すると、家が燃えて悲しんでいた人たちが、
「人の不幸を喜ぶなんて、とんでもないやつだ!」
と、ハンスを殴りつけました。
 ハンスは再び家に帰って、また母親に言いました。
「お母さん、おら、楽しそうに踊りながら、『おめでとう』と言ったら、家が火事で燃えていた人たちに、殴られてしまったよ」
「またかい。それは、殴られて当然だよ。そう言うときはね、バケツに水をくんで、水をかけなきゃ」
「うん、今度はそうするよ」
 そこで再びハンスが町にやってくると、ミツバチの巣箱をいっぱい積んだ馬車に出会いました。
 そこでハンスはバケツに水をくんで、思いっきりミツバチに水をかけました。
「なにをしやがる!」
 ミツバチの親方が飛んできて、ハンスを殴りつけました。
 またまた家に帰ったハンスは、その事を母親に言いました。
「お母さん、おら、また町で殴られたよ」
「今度は一体、どうしたのさ」
「うん、ミツバチの巣箱をいっぱい積んだ馬車があったから、お母さんに言われた通りに、バケツに水をくんで、ミツバチにかけたんだよ」
「それは、殴られて当たり前だよ。ハンス、そう言う時はね、物欲しそうに、『一口欲しいな』と言えば、よかったんだよ」
「うん、今度はそうするよ」
 ハンスがまたまた町にやってくると、ちょうど町の人たちが、畑にまくこやしを馬車に積み込んでいました。
 ハンスはその馬車に近づくと、物欲しそうに言いました。
「一口欲しいな」
 するとこやしを馬車に積み込んでいた人は、
「なんだ、これがほしいのか? 欲しければ、いくらでもやるよ。さあ、帽子を広げるがいい」
と、ハンスが広げた帽子に、こやしをなみなみと注いでくれました。
 今度は殴られずにすんだので、ハンスは大喜びで家に帰りました。
「お母さん、お母さん、今度は殴られなかったよ。それにほら、こんなに稼いできたよ」
 そう言って喜ぶハンスを、母親は何も言わずに殴りつけたそうです。

おしまい

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