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第20話

歌うガイコツ

歌うガイコツ
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おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
骸骨の折り紙がいこつのあたま

 むかしむかし、ある国の大きな森に、とてもらんぼうなイノシシが住んでいました。
「イノシシが畑をあらすので、こまっています」
「子どもがイノシシにおそわれて、大けがをしました」
 そんな話を聞いた王さまは、イノシシを倒した者をお姫さまと結婚させるとおふれを出したのです。
 それを聞いて、まずしい二人の兄弟が名乗り出ました。
「ぼくたちが、イノシシを倒します」
 心の優しい弟は東から、なまけ者のお兄さんは西から森へ入って行きました。
 弟が森を進んで行くと、黒いヤリを持った小人が出てきました。
 小人は黒いヤリを、弟に差し出しました。
「イノシシを倒そうとする勇気ある少年よ、これをお前にやろう。さあ、持って行きなさい」
「ありがとう。かならずイノシシを倒してみせるよ」
 小人にお礼を言った弟が歩き出すと、間もなくイノシシが現れました。
「さあ、こい!」
 弟が小人にもらった黒いヤリをかまえると、イノシシは自分からヤリに飛びかかり、そのヤリに心臓(しんぞう)を突かれてあっけなく死んでしまいました。

 さて、西から森に入って行ったお兄さんは、森の途中でお酒を飲んでいました。
「イノシシ退治なんて、おれたちに出来るわけがない。けがをするだけさ」
 ところが弟がイノシシをかついで帰ってきたので、お兄さんはびっくりです。
「おっ、お前、そのイノシシを一人で倒したのか?」
「うん。これでぼくは、お姫さまと結婚できるんだ。お兄さんもお城で暮らせるように、王さまに頼んでみるよ」
「・・・お姫さまと、結婚か。まあとにかく、お祝いに酒を飲もう」
 お兄さんは弟にお酒をたくさん飲ませると、寝てしまった弟を殺して近くの橋の下にうめました。
 そして弟が倒したイノシシをお城に持って行き、自分がイノシシを倒したと言ったのです。
 お兄さんはお姫さまと結婚して、しあわせに暮らしました。

 それから何年か過ぎたある時、ヒツジ飼いがあの橋を渡りました。
 そして橋の下にうめられた雪のように白い骨を見つけると、それをひろって笛(ふえ)を作りました。
 そしてその笛を吹こうとすると、笛がひとりでに歌い始めたのです。
♪兄がわたしを殺し
♪橋の下に埋めました
♪イノシシをよこどりして
♪お姫さまと結婚しました
 不思議に思ったヒツジ飼いは、その骨の笛を王さまのところへ持っていきました。
 すると骨はさっきの歌を歌い、王さまは本当の事を知ったのです。
 弟を殺した悪いお兄さんは、すぐに死刑となりました。
 そして弟の骨は全て橋の下からほり出されると、王さまが用意した美しい墓の下にほうむられたのです。

おしまい

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