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 第 11話
 
  化け物べい   むかし、ある男が、さみしい道を歩いていくと、目の前に、ひょいっと、高いへいがあらわれました。「あれまあ、こんなへいが、いつできたんだろ」
 その男はしかたなく、へいにそって、横に歩いてゆきました」
 ようやく、へいがとぎれたので、やれやれとおもったら、またまた、へいがありました。
 へいにそって、横に歩いて、ようやくまがると、またもやへいが続いています。
 「これは、ほんもののへいではあるまい。うわさにきく、化け物べいだな。こうやって、人をつかれさせて楽しむ、はためいわくな化け物だ。ようし、つきやぶってやろう」
 男は、はなれたところから、いきおいをつけて、タタタタタッと、はしっていくと、頭から、ドシン!と、体当たりしました。
 ところが、今度は、ほんものの石べいだったからたまりません。
 目をまわして、ひっくりかえってしまいました。
 おしまい   
 
 
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