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2023年5月1日の新作昔話

舟の渡し賃
投稿者 「カボスひろし」  大分県産カボスひろしTV

舟の渡し賃
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「カボスひろし」  大分県産カボスひろしTV

♪音声配信(html5)
音声 スタヂオせんむ

♪音声配信(html5)
音声 ヤマネコギン

 むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。

舟の渡し賃

 ある日の事、吉四六さんは庄屋(しょうや)さんに呼ばれました。

舟の渡し賃

「すまない、吉四六さん。渡し舟の船頭が病気で倒れてしまったんだ。今日だけでいいから、代わりに渡し舟の船頭になってはくれまいか」
「はい、いいですよ」
 そんなわけで、吉四六さんは今日一日、村の渡し舟の船頭です。

舟の渡し賃

「暇じゃな。誰か客が来ないかなあ」

舟の渡し賃

 川縁でタバコを一服していると、旅の侍(さむらい)がやって来ました。

舟の渡し賃

「これ、船頭。渡し賃はいくらだ?」
「はい。片道、八文(→二百四十円ほど)です」
 すると旅の侍は、威張って命令しました。
「八文とは高い。六文にいたせ!」
 吉四六さんは、
(このケチ侍め)
と、思いましたが、侍とけんかをしても負けてしまいます。
「では、舟を出しますよ」

舟の渡し賃

 吉四六さんは、侍を乗せてこぎ出しました。
 ところが、あと少しで向こう岸に着くというところで、吉四六さんは舟を止めました。
「六文では、ここまでです。あと二文出してくれれば、向こう岸まで着けますが、どういたしましょう?」
「何だと。ここで降りて、あとは泳いで行けというのか!」
「いいえ、あと二文出せば、向こう岸までお送りしますよ」
「ええい、こうなれば意地比べだ。向こう岸までやれないのなら、元の岸に戻せ!」

舟の渡し賃

「へい、分かりました」
 吉四六さんは素直に舟を戻すと、侍の前に手を出しました。

舟の渡し賃

「では、六文のところを行って帰って来ましたので、合計十二文ちょうだいいたします」
「・・・くそーっ! わしの負けだ!」

舟の渡し賃

 侍は十二文を払うと、どこかへ行ってしまいました。

おしまい

舟の渡し賃

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