福娘童話集 > 新作の紹介 福娘童話集 きょうの新作昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 

福娘童話集 > きょうの新作昔話 >温かい草履

2017年 6月12日の新作昔話

温かい草履

温かい草履

豊臣秀吉の出世物語

 今川家の松下加兵衛(まつしたかへえ)の家来になった日吉丸は、松下家で三年間仕えました。
 頑張って働き、その仕事ぶりを認められたものの、今川家では生まれ持っての地位やコネがないと出世は難しいので、侍大将になると言う日吉丸の夢を叶える事は出来ません。
 そこで今度は尾張にもどって、織田一族の分家の大名、織田信長の小者(こもの)になりました。
 小物とは、主人の身のまわりの世話をする雑用係です。

 ある寒い日、信長は小物の日吉丸に言いました。
「サル! 出かけるぞ」
「はっ、かしこまりました。どうぞ、おはきものをおめしください」
「うむ」
 信長は、日吉丸がきれいに並べたぞうりに足を入れて、怪訝な顔をしました。
「むっ。この寒空に、なぜ草履が温かい。さてはサル、わしの草履を尻にしいていたな。この無礼者!」
「いいえ。そんな、めっそうもない」
「では、なぜ草履が温かいのだ?」
 信長にたずねられて、日吉丸は待ってましたとばかりに言いました。
「はい! 殿のおみあしが冷えてはならぬと、このふところで温めておきました」
 日吉丸が自分の胸元を開くと、そこには草履の跡がくっきりと残っています。
 この草履の跡は、日吉丸がわざとつけた物でした。
 それを一目で見破った信長は、思わずニヤリと笑いました。
「ふっ。あざといが、顔にあわず頭の良いサルよ」

 生まれ持っての地位やコネがない日吉丸は、この様に細かい事にも知恵を働かせながら信長に仕え、信長の信頼を少しずつ得るようになりました。

おしまい

ページを戻る

新作の紹介メニュー

福娘童話集

新作の紹介
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト さくら
職業紹介・誕生日占い・おまじないなど
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識