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2016年 1月18日の新作昔話

そばを買いにきたタヌキ

そばを買いにきたタヌキ
東京都の民話東京都情報

 むかしむかし、江戸の町に、与兵衛(よへえ)という、そば屋がありました。
 ある夜の事、八歳くらいの男の子がかごをさげて、そばを買いにきました。
 店を閉める前の忙しい時だったので、お店の人は急いでそばをかごに入れて手渡しました。
 男の子はうれしそうな顔をしてお店を出ていきましたが、あとで気づくと、だれもお金をもらっていないのです。
 次の日も、同じ時刻に同じ男の子がやってきました。
 大雨が降っているのに男の子は傘もささずに、ずぶぬれでお店の中へ飛び込んできました。
 昨日とは違う店の者が、おそばを手渡しましたが、あとで気づくと、やはりお金をもらうのを忘れていました。
 三日目の夜も大雨が降っていましたが、同じ時刻になると、また男の子がずぶぬれのまま、おそばを買いにきたのです。
 店の者たちが、今度は間違わないようにと、
「そばは売ってやるが、先に二日分のお金を出してもらおうか」
と、言うと、男の子はかごを放り出して逃げ出しました。
「あっ、逃げやがったな。待てー! 二日分の代金を払いやがれー!」
 店の者が後を追いかけましたが、店を出た男の子は一軒先の横丁を曲がると、そのまま姿を消してしまいました。
「ちぇっ。逃げ足の速い小僧だ。横丁を曲がったと思ったら、もう姿が見えない」
 店の若い者は、息をはずませながらもどってきました。
「どこの子かわからんが、逃げたのだから、もうお店には来ないだろう」
 ところが次の日、またも同じ時刻に店の戸をたたく者がありました。
「これは、あの小僧にちがいない。今夜こそ、とっ捕まえて、こらしめてやろう」
 店の者たちは目で合図をして、うなずきあいました。
 そして一人がいきなりくぐり戸を開けると、戸をたたこうとしていた男の子が、バランスをくずしてお店の中へ転がり込んできたのです。
「それっ!」
 店のみんなが飛びかかると、男の子は気を失ってしまいました。
「さて、どうしたものか?」
 店の者たちが男の子を取り囲んで相談していると、戸のすき間からのら犬が入ってきて、男の子のにおいをかぎだしました。
 すると男の子は体をガタガタとふるわせて、大ダヌキの姿を現したのです。
「あっ、タヌキ!」
 大ダヌキは素早く起きあがると、びっくりする店の者たちのすきをついて、まっ暗な闇の中へと消えていったという事です。

おしまい

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