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2015年12月14日の新作昔話

イタチの仇討ち

イタチの仇討ち

 むかしむかし、ある村の観音さまの境内に、えのきの大木がありました。
 この大木の幹には穴が開いており、その中に一匹のイタチがすんでいます。
 このイタチは、時々穴から顔を出しては、参詣(さんけい)にくる人たちを、じいっと見ているので、村人たちは誰一人、イタチの事を知らない人はいません。
 ある、夏の初めの事。
 どうしたのか、この頃はイタチが、いっこうに姿を見せません。
 みんなが不思議に思っていると、何十匹という大勢のイタチが、えのきの大木に集まってきました。
 イタチたちは、穴の周りをとりまいて、出たり入ったり、出たり入ったりしています。
 それがしばらくすると、急に姿を消してしまいました。
 すると、どうでしょう。
 穴の中から、傷ついた大蛇が出てきたのです。
 大蛇はしばらくもがいていましたが、やがて力尽きて死んでしまいました。
「ほう。こりゃまあ。珍しい事があるもんじゃ」
 そのうわさを聞いて、大勢の村人たちが集まってきました。
「それにしても、いつものイタチは、どこへいったんじゃろう?」
「待てよ。もしかしたら」
と、一人の男が、穴の中へ手を入れてみると。
「あっ。おった、おった」
 男が穴から掴み出したそのイタチは、もう死んでいました。
「いつもここに顔を出しとった、あのイタチじゃないのか?」
「たしかに、そうじゃ」
「うむ、かわいそうに。この大蛇に、やられたらしいな」
「ははーん、それでわかった。仲間のイタチが集まってきて、大勢で大蛇をやっつけてしもうたんじゃな」
「うん、それにちがいないわ」
「イタチどもも、たいしたもんじゃ」
「仲間を思う気持ちは、人もイタチも同じじゃ」
 村人たちは、イタチたちの仲間思いを褒めてやると、そのイタチのお墓を作ってやりました。

おしまい

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