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2015年1月26日の新作昔話

大判小判をはき出す狛犬

大判小判をはき出す狛犬
広島県の民話広島県の情報

 むかしむかし、あるところに、心優しい長者がいました。
 でも長者が死んでからは、母親と二人の兄弟が家を守ることになり、長者の跡を兄弟の兄が継いだのですが、その兄がひどいけちで、自分以外の者がご飯を食べるのも嫌だったのです。
 だから、父親の代にはたくさんいた下男や下女を、食べさせるご飯がもったいないという理由で、みんな帰らせてしまいました。
 でも、そうなると家はだんだん貧乏になって行ったので、兄は弟や母親につらく当るようになったのです。
 困った弟は母親を連れて家を飛び出すと、以前、家で下男として働いていた作じいさんを訪ねていきました。
 そして弟は、
「がんばって、お母さんに楽をさせてあげよう」
と、朝から晩まで一生懸命に働いたのです。
 そんな、ある晩の事です。
「これ、起きよ。これ、起きよ」
と、弟を起こす声がします。
 弟が目を覚ますと、何と目の前に金色に光る神さまが現れて、こう言ったのです。
「明日の朝、何か入れ物を持って、金噴き明神の広場へ来なさい」
 そして神さまは、消えてしまいました。
 次の朝、弟は早くに起き出すと、大きなかごを持って金噴き明神の庭へ行ってみました。
 しかし、広場には誰もいません。
(やっぱり、夢だったのかな?)
 弟はそう思って帰ろうとすると、
「これ、ここじゃ。これ、ここじゃ」
と、声が聞こえるのです。
 弟がまわりを見てみると、その声は大きい石の狛犬(こまいぬ)から聞こえてくるのでした。
 弟が狛犬に近づくと、その狛犬が言いました。
「わしの頭を三べんさすって、『金出ろ、金出ろ』と、言ってみろ。そしたら口から金を出してやろう。そしてかごがいっぱいになる前に、もう一度、頭をさするのだ」
 弟は言われた通りに狛犬の口の下にかごを置くと、狛犬の頭を三べんさすって、『金出ろ、金出ろ』と、言ってみました。
 すると狛犬は、大きい口を開いて、
「ウォン!」
と、ひと声吠えると、口からザラザラ、ザラザラと大判小判を吐き出したのです。
 そして弟が、もう一度、狛犬の頭をさすると、狛犬の口がカチッと閉じて、大判小判を吐き出すのをやめたのです。
 喜んだ弟はカゴに一杯の大判小判を家に持って帰ると、母親と作じいさんに今までの事を話しました。
 そして弟は立派な屋敷を建てると、母親と作じいさんに楽をさせてあげました。

 さて、このうわさを聞いた兄が、弟たちの家にやってくると弟に聞きました。
「おい、その金はどこで手に入れたのだ?」
 すると気のいい弟は、大判小判を吐き出す狛犬の事を教えてやりました。
 すると欲深い兄は、大きな大きな四斗樽をかついで狛犬の所へやってくると、弟に聞いた通りにやって、四斗樽一杯の大判小判を手に入れたのです。
 兄は、たちまち大金持ちになったのですが、これで満足する兄ではありません。
「これだけの大判小判が出てくると言うことは、狛犬の腹の中に、もっと多くの大判小判が詰まっているに違いない」
 そこで兄は閉じた狛犬の口を無理矢理開くと、その中に手を入れて中の大判小判を取り出そうとしたのです。
「よし、手の先に大判小判が当たったぞ。もう少し手を伸ばせば、もう少し・・・」
 兄がどんどん手を伸ばしていくと、そのうちに狛犬の目がギロリと兄をにらんで、兄の手が入ったまま大きな口をガチンと閉じてしまったのです。
 びっくりした兄は、何とかして手を引き抜いて家に帰りました。
 そしてふと、大判小判が詰まっている四斗樽を見てみると、その中の大判小判は、いつの間にただの石ころに変わっていたと言うことです。

おしまい

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