福娘童話集 > 新作の紹介 福娘童話集 きょうの新作昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
     11月11日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
電池の日
きょうの誕生花
からすうり
きょうの誕生日・出来事
1952年 吉幾三(歌手)
  11月11日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
ふしぎな宝ゲタ
きょうの世界昔話
カンチールと巨人
きょうの日本民話
水無川
きょうのイソップ童話
キツネとハリネズミ
きょうの江戸小話
手足のけんか
広告
 


福娘童話集 > きょうの新作昔話 >寝ているだけの仕事

2009年 11月11日の新作昔話

寝ているだけの仕事

寝ているだけの仕事
和歌山県の民話和歌山県情報

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
虎の顔の折り紙とらのかお   ライオンの顔の折り紙らいおんのかお

♪音声配信
朗読 ゆめよみ おはなし ひなたぼっこ

 むかしむかし、あるところに、働くのが大嫌いな男がいました。
 毎日毎日、男は家で寝てばかりいたので、ついにお金もお米もなくなってしまいました。
(何もかも、なくなってしまったな。まあ、働かないといけないのはわかるが、汗水たらして働くなんて、まっぴらごめんだ。・・・ああ、どこかに、寝ているだけの仕事はないかなあ)
 男が、そんな都合の良い仕事を探しに外を歩いていると、向こうから見せ物小屋の親方がやってきました。
 この見せ物小屋の親方は、珍しい動物を見せる商売をしているのです。
「なあ親方、どこかに、寝ているだけで金もご飯ももらえる仕事はないか?」
 とんでもない相談ですが、それを聞いた親方は手を叩いて言いました。
「ある、ある、あるぞ! 実は今、そんな仕事をしてくれる人を探していたところだ」
「へえ。そいつはありがたい。親方、ぜひともわしに、その仕事をさせてくれ」
「いいとも、仕事場までついて来い」
 男は喜んで、親方の後について行きました。

 親方は町はずれで、獅子(しし→ライオン)やトラの見せ物小屋を開いていました。
「へえ、これが見せ物小屋か。・・・ところで、おれはどんな事をすればいいんだ?」
「なあに、簡単さ。ただ、このおりの中で寝ているだけだよ」
「何だって?! 獅子やトラと一緒にか?!」
 びっくりする男に、親方は声をひそめて言いました。
「心配するな。実はな、少し前に見せ物のトラが死んでしまって、困っていたところなんだ。そのトラの皮をはいであるから、お前さんはそれを着て、おりの中で寝ていてくれればいい」
「何だ、トラの身代わりか」
「そう言う事だ。ただ寝ているだけで、時々エサをもらい、おまけにお金までもらえるんだ。いい話だろう」
「確かに。なまけ者のおれにぴったりの仕事だな」
 そんなわけで、親方はさっそく男にトラの皮を着せて、おりの中へと入れました。

 トラの身代わりは確かに楽な仕事で、あっという間に見世物小屋が終わる最後の日となりました。
(ああ、楽な仕事だったな)
 男が寝ながらそう思っていると、集まって来た人たちに親方が言いました。
「さあ、入った、入った。今日でもうお終いだよ。さて、そこで最後に、トラと獅子を一つのおりに入れて、けんかをさせて見せようではないか」
 そう言って親方は、隣のおりに入れていたライオンを、トラの毛皮を着た男のいるおりに連れて来たのです。
 さあ、トラの毛皮を着た男はびっくりです。
 男は逃げ出そうとしましたが、恐怖に足がすくんで動けません。
(わあわあ、もう駄目だ!)
 男は思わず、目をつむりました。
 するとライオンが男のそばへ来て、小さな声で言いました。
「心配するな。わしも人間じゃ。獅子の皮を着て、身代わりの仕事をしているんだ」
 すると男は安心して、自分がトラになっている事も忘れて立ち上がると、
「いやあ、助かった。なんだ、あんたも偽物だったのか」
と、言ってしまい、二匹の猛獣がインチキだった事がばれてしまったのです。

おしまい

ページを戻る

新作の紹介メニュー

福娘童話集

新作の紹介
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト さくら
職業紹介・誕生日占い・おまじないなど
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識