福娘童話集 > 新作の紹介 福娘童話集 きょうの新作昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
     6月 1日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
スーパーマンの日
きょうの誕生花
てんなんしょう
きょうの誕生日・出来事
1955年 千代の富士貢(相撲)
  6月 1日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
金太郎
きょうの世界昔話
コルニーユじいさんの秘密
きょうの日本民話
なわ
きょうのイソップ童話
やぶ医者
きょうの江戸小話
お祭りが、うんこ
広告
 


福娘童話集 > きょうの新作昔話 > 食わず逃げ 江戸小話

2008年 6月1日の新作昔話

食わず逃げ

食わず逃げ
江戸小話 → 江戸小話とは?

 むかしむかし、田舎者の男が一人で江戸見物にやってきました。
 長い旅で疲れた男は、うまいまんじゅうが食べたくなって、一軒のまんじゅう屋へ入りました。
「おらは、遠い田舎からやってきた。人に聞くと田舎者が江戸にくりゃあ、かんたんにだまされるというが、このまんじゅうは本当にうまいのか、教えてくれんか?」
「うまいか、うまくないかは、一つ召し上がってくださればわかります」
 まんじゅう屋の主人が言うと、田舎者は疑いの目で言いました。
「いや、そんなこと言うて、おらが食ったあとで、まずくても銭を取るのじゃろうて」
 それを聞いた主人は、まんじゅうを一つ口に入れ、
「ああ、うまい、うまい」
「そんなに、うめえか?」
「ああ、うまいとも、さあ、召し上がってくだされ」
「いやいや、おめえが一つ食っただけでは、当てにならんわい。もう一つ食ってくれ」
「なんと、うたがい深いお方じゃ。それならもう一つ、食べてみましょう」
 主人はもう一つ、パクリと食べてみせて、
「ほんに、うまいまんじゅうですぞ」
と、いいました。
「うーん、おらにはまだ信じられん。もう少し食べてくれんかのう」
「ああ、お振る舞いなら、いくらでも食べてみせますぞ」
「さあ、もっともっと」
 主人は次々とまんじゅうを食べて、とうとう一箱を空っぽにしてしまいました。
「さあ、全部食べてしまいました。では、まんじゅう代を払って下され」
「なに! おめえが食ったまんじゅうの銭など、おらは出せん!」
「なっ、なんということを! お前さんの振る舞いだから全部食べたのじゃ。まんじゅう代は、絶対にいただきます!」
「それそれ、田舎者をだますでねえか、やっぱり江戸は恐いとこじゃ」
 そういって男は、急いで逃げ出しました。
 これに腹を立てたまんじゅう屋の主人は、男を追いかけようと外へ出ると、隣の店の主人が声をかけてきました。
「どうした? そんなにあわてて。・・・あっ! さては、食い逃げかい?」
「いや、食わず逃げじゃ」

おしまい

ページを戻る

新作の紹介メニュー

福娘童話集

新作の紹介
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト さくら
職業紹介・誕生日占い・おまじないなど
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識