福娘童話集 > 新作の紹介 福娘童話集 きょうの新作昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > きょうの新作昔話 > サルのきも タイの昔話
     5月 9日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
アイスクリームの日
きょうの誕生花
クレマチス
きょうの誕生日・出来事
1970年 テツ (芸人)
  5月 9日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
ばばいるか
きょうの世界昔話
オオカミと3人の娘
きょうの日本民話
うでをみがいた兄弟
きょうのイソップ童話
水をたたく漁師
きょうの江戸小話
けはえぐすり
広告
 


2008年 5月9日の新作昔話

サルのきも

サルのきも
タイの昔話タイの情報

 むかしむかし、大きな川の中に、ワニの夫婦がすんでいました。
 ワニの奥さんは体の具合が悪くて、食べ物がのどを通りません。
 ワニのだんなが、心配して聞きました。
「何か、食べたい物はないかね? 何でも探してきてやるよ」
 すると、ワニの奥さんはいいました。
「ひとつだけ、食べたい物があります。それは、サルの生きぎもです。うわさによれば、サルの生きぎもはどんな病気でもなおす力があるとか。それを食べれば、きっとよくなると思いますわ」
 その川の向こう岸は、サル山でした。
 たくさんのサルが木登りをしたり、枝にとびうつったりして遊んでいました。
 ワニのだんなは何とかして、あの中の大きなサルの生きぎもを、奥さんに食べさせてやりたいと思いました。
 そこで向こう岸へ泳いでいって、ひなたぼっこをしているようなふりをしました。
 そして、サルに話しかけました。
「サルさん。川のあっち側にいってごらん。木の実がたくさんあるよ」
「ふーん。でも、どっち側だって同じさ」
 サルは、興味がない様子です。
 それでも、ワニはあきらめません。
 せっせと、出かけていっては、
「サルさん、川のあっち側にいってごらん。バナナやマンゴーがたくさんあるよ」
と、くりかえしました。
 そのうちにサルも、
「だけど、あっち側へは、どうやって渡るんだい?」
と、聞いてきたのです。
「それなら、ぼくの背中にお乗りよ。すぐ渡してあげるから」
 ワニはこういって、背中をサルの方に向けました。
 サルが背中にとびのると、ワニは川の中を泳いでいきました。
 そして一番深いところへきたとき、とつぜん、ブクブクと水の中へもぐりはじめたのです。
「助けてくれえ! ワニさん、助けてよ!」
 サルはワニの背中にしがみついて、泣きさけびました。
 すると、ワニが言いました。
「サルさん。うそをいってすまなかった。じつは、家内が病気なんだ。サルの生きぎもを食べたら、なおるというものだから」
 これを聞いてサルはビックリしましたが、ある作戦を思いついていいました。
「なんだ、それならそうと、早くいってくれればいいのに。実はきょう、きもを忘れてきちゃったんだよ。あれは、とても重いんでね。ふだんは木の枝にひっかけておくか、ほら穴にしまっておくんだよ」
 それからサルは、ちょっと考えるふりをして言いました。
「どうしてもほしいなら、もう一度岸にもどしてくれないか? ついでだから、生きぎもを二つか三つ、取ってきてあげるよ」
 ワニはこれを聞いて、サルをもとの岸辺におくりとどけてやりました。
 サルは山にかけのぼると、やがてイチジクの実を二つとってきました。
「ワニさん。これがサルの生きぎもだよ。奥さんに、食べさせてやりなさいよ」
と、いって、ワニにわたしました。
「ほう、これがうわさのサルの生きぎもか。ありがとう」
 ワニのだんなは喜んで、そのイチジクをうちへ持って帰りました。
「お前、ほら、サルの生きぎもだよ」
と、ワニのだんなは、奥さんにイチジクを見せました。
「まあ、はじめて見るけれど、これがうわさのサルの生きぎもね。本当に、とってもおいしそうだわ」
 奥さんはさっそく、イチジクをペロリと食べました。
 すると病気は、うそのようになおってしまったということです。

おしまい

ページを戻る

新作の紹介メニュー

福娘童話集

新作の紹介
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト さくら
職業紹介・誕生日占い・おまじないなど
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識