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12月25日のイソップ童話
  
  
  
満腹したオオカミとヒツジ
   食べ物をじゅうぶん食べて満腹したオオカミが、地面にたおれているヒツジを見ました。
  「こいつは、オオカミがきたので、こわさのあまりたおれたのだな」
  と、思ったオオカミは、そばへ寄って、
  「心配するな」
  と、なぐさめてやりました。
   そして、
  「もし、おまえが本当のことを三ついったら、わたしはおまえを見逃してやろう」
  と、約束しました。
   するとヒツジは、
  「まず第一に、わたしはあなたにあわずにすめばよかったと思っています。2番目には、せめてあなたが目の見えないオオカミだったらよかったのに、と思っています。そして、3つ目の本当のことは……」
   ヒツジはしんこきゅうすると、、思いきり大きな声で、
  「いやなオオカミめ、あんたたちなんか、みんなひどい目にあって死んでしまえばいい。なぜって、わたしたちがなんにも悪いことをしないのに、あんたたちはわたしたちをいじめて、なぶり殺しにするのだもの」
   オオカミは少し腹が立ちましたが、ヒツジがいったことは本当だとみとめて、見逃してやりました。
  
   真実は、敵にたいしてさえもききめがあるということを、このお話しはおしえています。
おしまい