福娘童話集 きょうの世界の名作・昔話 福娘童話集
福娘童話集の朗読
お話し きかせてね

声優、アナウンサーが、
福娘童話集を朗読

福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの世界昔話

ホジャおじさんの金貨裁判

ホジャおじさんの金貨裁判
トルコの昔話トルコの情報

♪音声配信
朗読 : 哲也  

 むかしむかし、トルコの国に、ナスレッディン・ホジャと言う、とても変わった人がいました。
 そのホジャおじさんの隣に、お節介焼きで人の事にうるさく口出しをする、お金持ちの商人が住んでいました。
 ホジャおじさんは、いつかその悪いくせを治してやろうと考えていました。

 ある日の事、ホジャおじさんは、
「神さま、どうかこのホジャめに、金貨をお授け下さい。それも、きっかり百枚です。一枚でも足りなければいりません」
と、わざと大声でお祈りを始めました。
 思った通り、隣の商人がこれを聞きつけました。
「よし、ホジャをからかってやろう」
 商人は九十九枚の金貨を袋に入れて、ホジャおじさんの家の庭へ投げ込みました。
「おや? おおっ! これは金貨ではないか! ありがたい。神さまはさっそく、願いを聞き入れて下さった」
 ホジャおじさんは、さっそく袋の金貨を数え始めました。
「・・・九十七、九十八、九十九、おや、一枚足りないぞ」
 隣の商人はニヤニヤしながら、ホジャおじさんがどうするかのぞき込んでいます。
「うーむ、きっかり百枚はないけれど、そこは偉大な神さまの事だ。そのうち残りの一枚も下さるだろう」
 ホジャおじさんは、そのまま金貨の袋を持って家へ入って行きました。
 あわてたのは、商人です。
 さっそく、ホジャおじさんの家へ駆け込みました。
「ホジャ、お前が今拾った金貨は、冗談のつもりで、わしが投げ込んだのだ。返してくれ」
「え? そんな金貨なんか、知りませんよ」
 商人がいくら頼んでも、ホジャおじさんは返してくれません。
「ようし、それなら裁判所に訴え出て取り返すが、それでもいいのか!」
「いいですとも、どうぞお気の済む様に。でも、わたしは貧乏だから、裁判所に着て行く着物を持っていません。それに、あんな遠くまで歩いて行くのはごめんですね」
 そこで商人は仕方なく、ホジャおじさんにきれいな着物とロバを貸してやりました。

 さて、裁判が始まりました。
 商人は、裁判官に頼みました。
「裁判官さま。どうか、わしの金貨を取り返して下さい」
 すると裁判官は、ホジャおじさんに尋ねました。
「この商人の言う事に、間違いないのか? ホジャ、そちの言い分は?」
「はい、その男の言う事なんてでたらめですよ。
 考えてもみて下さい。
 今時、百枚近い金貨を、訳もなくくれる人がどこにいるものですか。
 それにその男ときたら、今わたしが着ている着物も、自分の物だと言いはるような奴でして」
「何を言うか! その着物はわしの物じゃ!」
「ほらね。そのうちに、わたしが乗って来たロバも、自分の物だって言い出しますよ」
「何を言うか! あのロバはわしの物だ!」
 このやりとりを見て、裁判官が言いました。
「なるほど、これはひどいうそつきだ。この商人の言う事は信用出来ない。よって金貨は、ホジャの物とする」
「そっ、そんなー」
 商人は裁判に負けて、しょんぼり家へ帰って行きました。
 次の日、ホジャおじさんは商人に、ロバも、着物も、金貨も、全部返してやりました。
 その時から商人は、二度と人の事に余計な口出しはしなくなりました。

おしまい

ページを戻る

お話しの移動


・ 福娘童話集
・ お話しきかせてね


・  1話  〜  10話
・ 11話  〜  20話
・ 21話  〜  30話
・ 31話  〜  40話
・ 41話  〜  50話
・ 51話  〜  60話
・ 61話  〜  70話
・ 71話  〜  80話
・ 81話  〜  90話
・ 91話  〜 100話
101話  〜 110話
111話  〜


福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診