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カメとイノシシ

カメとイノシシ

♪朗読
TIME 3:11
朗読者  Takumi Kodama
提供 すまいるぼっくす

 むかしむかし、カメはとても足が長くて背の高い動物でした。
 ある日の事、けものたちが集まって力比べを始めました。
 その頃、力が一番強かったのはイノシシです。
 だからイノシシはいつも大いばりで、力比べの場所に来ると、
「エヘン、エヘン」
と、偉そうにしていました。
 さあ、これを見てくやしくなったカメは、自分もイノシシの真似をして、
「エヘン、エヘン」
と、やりました。
 これを聞くと、イノシシはますます大きな声を出して、
「エヘッン! エヘッン!」
と、やりました。
 すると、カメも負けじと、
「エッへーン! エッヘーン!」
 イノシシも負けじと、
「エッヘーン!!! エッヘーン!!!」
 二匹はにらみ合いましたが、カメが言いました。
「イノシシくん、ちょっと尋ねるが」
「何だい」
 イノシシが、長い首をカメに向けました。
 その頃のイノシシは今と違って、とても首が長い動物だったのです。
「きみは、少しばかり力があるのが自慢なんだそうだね。・・・まあ、ぼくにはかなわないだろうけど」
 カメが言うと、怒ったイノシシが、
「何だとー! 踏みつぶしてやる!」
と、カメを甲羅の上から押さえつけました。
 押さえつけられたカメも足をふん張って頑張ったのですが、イノシシの力がよほど強かったのか、カメの足がギュギュギューと、だんだんと短くなっていったのです。
 おまけに硬いカメの甲羅もメシメシメシーと、ヒビだらけになってしまいました。
 それでカメの足は、あのふん張ったような短い足になってしまい、硬い甲羅もヒビだらけになってしまったのです。
「へへーん。ざまあみろ!」
 勝ったイノシシは、うれしさのあまり勢い良く走り出しました。
 でも、よそ見をしていて前にあった大岩に激しく頭をぶつけてしまい、ギューーと、長かった首が縮んでしまいました。
 それでイノシシの首は、今のように短くなってしまったのです。

おしまい

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