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山鳥の恩返し

山鳥の恩返し
長野県の民話長野県情報

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スタヂオせんむ

 むかしむかし、あるところに、弥助(やすけ)という親孝行の若者がいました。
 とても働き者ですが、どうしたわけか、家はひどい貧乏でした。
 ある年の暮れ、弥助はわずかなお金を持って、お正月の買い物に町へ出かけて行きました。
 すると道ばたで、何や、バタバタと暴れているものがあります。
(なんだろう?)
 弥助が近づくと、一羽の山鳥がわなにかかって、もがいていたのでした。
「よしよし。わしが助けてあげよう」
 弥助が山鳥の足にまきついているひもをほどいてやると、山鳥はうれしそうに空へ飛び立ち、そのまま山の向こうへ飛んで行きました。
「よかったな。これからは、気をつけて暮らせよ。・・・しかし、この鳥わなをどうしようか?」
 弥助は、わなを仕掛けた人にすまないと思って、買い物に行くわずかなお金を全部、山鳥のかわりにわなのところへ置いたのです。
 しかしこれでは、買い物に行けません。
「しかたがない。家にもどろう」
 弥助は手ぶらで家にもどると、お母さんに今日の事を話してあやまりました。
 でもやさしいお母さんは、文句を言うどころか、弥助のしたことをほめてくれました。
「それはいい事をしたね。今ごろ山鳥も、親のところでほっとしているだろうよ」
「ごめんよ。おら、もっと一生懸命働いて、来年はきっといいお正月にするから」
「なんのなんの。こうして二人とも無事でお正月を迎えられるだけでいいんだよ」
 こうしてお母さんと弥助は、雪の降るさみしいお正月をすごしていました。
 するとそこへ、美しい娘さんがやってきて、
「わたしは、旅の者です。雪に降られて困っています。どうか、今夜一晩とめてください」
と、言うのです。
「まあ、それはお気の毒に。こんなところでよかったら、どうぞどうぞ」
 お母さんも弥助もにこにこして、娘さんをいろりのそばに座らせてあげました。
 見れば見るほどきれいで、それにとても心のやさしい娘さんでした。
 お母さんと弥助は、この娘さんがすっかり気に入りました。
 娘さんも、この二人が好きになって、
「どんなことでもしますから、春になるまでここで働かせてください」
と、言いました。
「それなら、弥助のお嫁さんになって、ずっとここにいてくれないかい?」
 娘さんは顔を赤くすると、
「・・・はい」
と、恥ずかしそうにうなずきました。
 弥助もお母さんも大喜びです。
 そこで娘さんをお嫁さんにして、親子三人仲良く暮すことになりました。
 お嫁さんになった娘さんは、本当に働き者でした。
 家の仕事から山の仕事まで、とてもよく働いてくれます。
 相変わらず貧しいのですが、幸せな毎日が続きました。
 それから、何年かすぎた時です。
 近くの山に悪い鬼が現れて、村を荒らしまわるようになりました。
 そこで都から強い侍が、鬼退治にやってきました。
 弓の上手な弥助も、侍のお供にくわえられました。
 でも、いくら弓が上手でも、鬼には勝てそうもありません。
 するとお嫁さんが、そっと弥助をよんで言いました。
「鬼を退治するには、ただの矢では無理でしょう。でも、山鳥のしっぽの羽をつけている矢なら、倒す事が出来ます。わたしがその羽を用意しましょう。・・・わたしは、あなたに助けてもらった山鳥です」
 そう言うと、お嫁さんは山鳥の姿に戻って、しっぽの羽を残すと、空へと飛び立ちました。
 そして何度も何度も家の上を回っていましたが、やがて山の向こうへ消えていきました。
 弥助は、その羽を矢につけました。
 そして弥助の放った矢は、たった一本で鬼を倒したのです。
 喜んだ侍は、弥助にたくさんのほうびをくれました。
 そのほうびのおかげで、弥助もお母さんもお金持ちになりました。
 でも、二人とも山鳥の姿を見るたびに、あのやさしい娘ではないかと思い、
「帰っておいで、帰っておいで」
と、涙を流しながら呼びかけたそうです。

おしまい

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