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むかしむかし、ずーっとむかしのむかし話だよ。
荒地の果てからやってきた、白い一頭の馬。
馬は、ずっしりとよく実った金色のアワの穂を、美味しそうに食べている。
「あっ、夢か、夢! 何という夢じゃ。金のアワ。それに神々しい白い馬、神さまが現れたあの荒地は」
夢から醒めた男は、あの白い馬が立っていた荒地は、自分が一度行ったことのある場所だと気付いた。
「ここだ、間違いない。夢の場所とおなじだ。・・・あっ!」
「ああ、ありがたい。きっとこれは、この荒地を耕して、アワをうえなさいという、神さまのお告げにちがいない」
春を待って、種をまき。
畑に這いつくばって、せっせと草を取った。
秋になると、男の植えたアワの穂は重く実り、あたり一面金色に輝いて波打った。
村はまた、ひどい飢饅にみまわれた。
「アワの長者さまに、おねがいしてみるか」
「うるさい! 聞きとうない! アワは一粒もない! 無断で蔵を開けたら、アワが無くて泡食うぞ! わかったか! さっさと出て行け!」
村の衆は、壁から、床下から、所かまわず、隠し込んだアワをガリガリこさぎだした。
長者は、村の衆がやることは高がしれてるとたかくくって眠り込んだ。
カリカリカリ、カリカリカリ
蔵も御殿のようなお屋敷も、もろとも崩れ落ちた。
立ち上る土煙が収まると、廃墟となった広場に何万というネズミたちが、ひとかたまりに集まった。
やがて白い馬は、前足をそろえ、蹴るように高く上げると、ゆっくりと空へ駆けのぼっていった。
「ああっ、あの白い馬、夢の中の神さまの馬だ。」
それからというもの男は、村の皆とせっせと荒地を耕し、助け合って仲良く暮らしたんだと。 おしまい ※ このお話しは福娘童話集の「アワの長者」を元に、ラジオNIKKEI様主催の「全国10都市横断 親と子のトークライブショー 第10回 常田富士男 民話の世界」で配布用CDに収録された朗読で、朗読者は「まんが日本むかしばなし」のナレーターで有名な常田富士男さんです。 |
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