福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
       
      コウモリとイバラとカモメ 
      
      
        コウモリとイバラとカモメが、いっしょに商売をすることになりました。 
 そこでコウモリは、商売の元手にするために、お金を借りてきました。 
 イバラは布地をしいれ、カモメは銅をしいれました。 
 しいれがすむと、それを船に積み込んで、海に乗り出しました。 
 ところがはげしい嵐がおこって、船は沈み、積み荷もなくなってしまい、命だけようやく助かりました。 
 このときから、カモメはいつも波打ちぎわを見はって、なくなった積み荷の銅を海がかえしてくれるのを、待つようになりました。 
 コウモリは借金取りが来るのがこわくて、昼間はかくれ、夜だけこっそりエサをさがしに出かけるようになりました。 
 そしてイバラは、とおりかかる人の着物をひっかけては、それが自分のしいれた布地ではないかと、いちいちたしかめるようになったのです。 
 
 このお話しのように、だれでも損をした事は、いつまでもわすれないものです。 
      おしまい 
          
         
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