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          福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
       
      ワシとコガネ厶シ 
      
      
        ワシが、ウサギを追いかけてきました。 
 ウサギは追いつめられて、逃げきれなくなりました。 
 だれか助けてくれないかと見回しますと、一匹のコガネムシが目にはいりました。 
「お願いです。コガネムシさん、助けて下さい」 
「よしよし」 
と、コガネムシはいいました。 
 そして、追ってくるワシに、 
「このウサギは、わたしに助けをもとめてきたのですから、あなたにひきわたすような、かわいそうなことはできません。かえって下さい」 
と、たのみました。 
 けれどもワシは、ちっぽけなコガネムシのたのみなど、聞く耳持たぬとばかりに、コガネムシの目の前でウサギを食べてしまいました。 
 このことがあってから、コガネムシは、いつかしかえしをしてやろうと、ワシの巣を毎日ねらっていました。 
 やがてワシがタマゴをうんだのを見たコガネムシは、ワシの巣のところまで飛んでゆき、巣の中のタマゴをごろんごろんところがして、ぜんぶ落としてわってしまいました。 
 ワシは、こまりました。 
 こんなぐあいでは、どこでタマゴをうんでも、またやられるにきまっています。 
 そこでワシは、ゼウスの神にたよることにしました。 
と、いうのも、ゼウスはワシのまもり神だからです。 
「ゼウスさま、どうぞわたしが安心して子どもをかえすことができるように、おそばにおいて下さい」 
と、ワシはお願いしました。 
 ゼウスはワシを自分のひざにのせて、そこでタマゴをうませてくれました。 
 しかしコガネムシは、ワシのすることをぜんぶ見とどけていました。 
 コガネムシはフンをまるめてボールのようにして、それをかかえると、空へ飛びたちました。 
 そしてゼウスのひざのま上まできたとき、そのフンのボールを落としました。 
 ゼウスはきたないフンの玉が落ちてきたので、あわてて立ちあがり、はらい落とそうとしたひょうしに、うっかりワシのタマゴを落としてしまいました。 
 タマゴは、はるかしたの地面に落ちて、われてしまいました。 
 このときから、コガネムシが姿をあらわす季節には、ワシはタマゴをうまなくなったといわれています。 
 
 このお話しは、どんなに弱い人もバカにしてはいけないと、おしえています。 
 どれほど弱いものでも、ひどい目にあわされたら、いつかはかならず、しかえしをすることができるからです。 
      おしまい 
          
         
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