福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
       
コウモリとイタチ 
      
      
        コウモリが地面に落ちて、イタチにつかまってしまいました。 
 殺されるに決まっていると思ったコウモリは、 
「どうか、命だけは助けて下さい」 
と、たのみました。 
 イタチは、 
「だめだね。あんたを放すわけにはいかないよ。なぜって、わたしは生まれつき、鳥はぜんぶ敵だと思っているからね」 
「おや、よく見て下さい。わたしは鳥ではありません。ネズミですよ」 
 コウモリはつばさをたたむと、ネズミによく似ています。 
 こうしてコウモリは、うまく命びろいしました。 
 しばらくして、このコウモリはまた地面に落ちて、別のイタチにつかまってしまいました。 
「お願いです。わたしを食い殺さないで下さい」 
「いやだよ。わたしはネズミというネズミが、ぜんぶきらいだから」 
 コウモリは、つばさをひろげると、 
「おや、わたしはネズミなんかではありませんよ。ごらんのとおり、鳥ですよ」 
 コウモリは、こんどもまた、はなしてもらいました。 
 こうしてコウモリは、名まえを変えることで二度も命びろいしたのです。 
 
 このお話しのように、危険をまぬがれるためには、その時その時のなりゆきによって、いろいろと工夫することが大切です。 
      おしまい 
          
         
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