福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
       
      片目のシカ 
      
      
        片方の目しか見えないシカが、海の近くへ出て草を食べ始めました。 
 シカは見える目を陸の方に、見えない目を海の方に向くようにして草を食べることにしました。 
 陸は猟師が来るかもしれないので、よく見ていなければなりませんが、海の方は猟師が来ないので安心と思ったのです。 
 ところが、近くを船で航海していた人たちが、海辺にいるシカを見つけて船の上からねらい打ちして、シカを殺してしまいました。 
 息を引取るまぎわに、シカはつぶやきました。 
「本当にわたしは運が悪い。安心だと思っていた海の方が危険だったなんて」 
 
 このように、わたしたちの予想がはずれることはすくなくありません。 
 いやだと思っていることが役に立ったり、よいと思ったことが害になる事もあるのです。 
      おしまい 
          
         
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