福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
         
セミとキツネ 
      
       
      
      
        セミが、高い木の上で鳴いていました。 
 キツネがそのセミを食べたいと思って、ある作戦を思いつきました。 
「セミくん、きみはいい声をしていますね。いや、本当にいい声だ。そんなにいい声で歌う方と、是非ともお友だちになりたいので、どうか降りて来てくれませんか」 
 キツネの悪巧みに気づいたセミは、木の葉を一枚むしってキツネの前に落としました。 
 キツネはそれをセミだと思い、飛びついて食べてしまいました。 
 それを見たセミは、 
「やっぱりね。おあいにくさま。わたしが降りて行くと思ったら、大間違いですよ」 
 騙されたキツネは言いました。 
「この前はこの作戦が成功したのに。どうして、わたしがきみを食べようとしている事がわかったんだ」 
 セミはそばにあるキツネのフンをさしていいました。 
「だって、きみのフンの中に、セミの羽が混じっているじゃないか」 
 
 身近な人の失敗は、わたしたちを利口にしてくれます。 
      おしまい 
          
         
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