福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
         
旅人とヘルメス 
      
      
        長い旅に出る事になった男が、ヘルメスの神に守ってもらおうと思って願をかけました。 
 途中で何か良い物を拾ったら半分はヘルメスの神に捧げるから、無事に旅をさせてくれといったものです。 
 
 さて、この人が歩いていくと、大きな袋が落ちていました。 
 袋の中にはアーモンドとナツメヤシの実が入っていたのですが、この人はてっきり、お金が入っていると思って、さっそく拾いました。 
 袋を振ってみて首を傾げ、開けてみるとアーモンドとナツメヤシの実だったので、全部食べてしまいました。 
 それから、アーモンドのからとナツメヤシの実のタネを集めて、ヘルメスの祭壇(さいだん)に供えながらこう言いました。 
「ヘルメスさま、ご覧の通り、お約束は果たしました。拾った物の外側と中身とを、あなたとわたしで分けましたから」 
 
 これは、神さまさえもごまかして自分だけ得をしようとする、欲張りな人間のお話です。 
      おしまい 
          
         
  |